リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「まあ、年も年だし。焦る気持ちも判らなくはないが。仕事にそういうことを持ち込むと言うのは」

明子のそんな様子になど構うことなく、勝手なことを喋り続けている吉田にまた目を向けて、明子は盛大なため息を、敢えて聞かせるように吐き出した。

「吉田係長こそ、ヤキが回ったんじゃないですか? そんな根も葉もない」
「木村が言っていたんだ。キミが自分の仕事を放り出して沼田を追いかけていったとか。キミの仕事を押しつけられた木村や渡辺が、どれだけ迷惑」
「木村。さっきから、吉田係長がああ言ってんだけどな、どうなんだ?」

なんか、迷惑かけたか、小杉主任?
いったい、なにが始まったんだと、腕を組んでこちらの様子を見ていた川田が、吉田の言葉を遮るように、木村にどうなんだと問いかけた。
そんなことありませんっと、木村は憮然とした声で川田に答え、ふざけんなっと言って立ち上がった。

「迷惑なんて、かかってないですよっ」

木村が吉田を睨み付けながら、声を張り上げた。
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