リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「さっきから、主任が仕事を押し付けただの、迷惑をかけただの。なにを言ってんですかっ あれは、もともと、僕の仕事ですっ でも、僕の手には負えなくて、小杉主任が引き受けてくれたんですっ 押し付けていたのは僕のほうで、小杉主任じゃありませんよっ 吉田係長なんて、先週はほとんど会社にいなかったじゃないですかっ そんな人が、なにを見て聞いたって言うんですかっ 僕や渡辺が迷惑していたなんて、吉田係長に言われる筋合いはないですよっ」
木村にしては珍しい怒気を孕んだ声に、吉田は目を白黒させて黙り込んでしまった。
(あ。きび団子効果で、お供のワンちゃんが)
こんな場面で不謹慎だとは思いながらも、明子は木村の言葉に頬が緩み始める。
どうやら、孤独な桃太郎ではなかったらしい。
それが妙に嬉しかった。
「いや、それは、みんなが……」
「誰ですか、みんなって。ウチの課に、吉田係長とそんな話する人はいないし。そっちだって、少なくとも、野木さんと沼田さんと森口さんが、そんなことを言ってるはずないし。大塚さんだって、ずっと入院中だったじゃないですか。残った四人ですか。それとも、こっちの残り物三人組ですか。そんな、仕事もロクしないでフラフラしているだけの連中が、面白おかしく話してたこと真に受けて、みんなが言っているなんて、そんなバカなこと言ってるわけじゃないですよね?」
小林を呆れ笑いさせる本領を、如何なく発揮する木村に、さすがの吉田も押し黙り「いや、それは……」と、もごもごと口ごもった。
木村は、むっとした顔のままに腕を組み、負けるものかという気炎をゆらゆらと立ち上らせて、吉田を睨みつけていた。
木村にしては珍しい怒気を孕んだ声に、吉田は目を白黒させて黙り込んでしまった。
(あ。きび団子効果で、お供のワンちゃんが)
こんな場面で不謹慎だとは思いながらも、明子は木村の言葉に頬が緩み始める。
どうやら、孤独な桃太郎ではなかったらしい。
それが妙に嬉しかった。
「いや、それは、みんなが……」
「誰ですか、みんなって。ウチの課に、吉田係長とそんな話する人はいないし。そっちだって、少なくとも、野木さんと沼田さんと森口さんが、そんなことを言ってるはずないし。大塚さんだって、ずっと入院中だったじゃないですか。残った四人ですか。それとも、こっちの残り物三人組ですか。そんな、仕事もロクしないでフラフラしているだけの連中が、面白おかしく話してたこと真に受けて、みんなが言っているなんて、そんなバカなこと言ってるわけじゃないですよね?」
小林を呆れ笑いさせる本領を、如何なく発揮する木村に、さすがの吉田も押し黙り「いや、それは……」と、もごもごと口ごもった。
木村は、むっとした顔のままに腕を組み、負けるものかという気炎をゆらゆらと立ち上らせて、吉田を睨みつけていた。