リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「お前。会議でも、それくらい喋れよ」
それまで、傍らで繰り広げられている吉田と明子のやりとりなど、まったく興味なさげな顔で座っていた大塚が、ぼそりとそんな言葉を吐き出した。
大塚らしくない、静かで穏やかな声だった。
けれど、その声で、明子の手のかすかな震えも止まった。
大塚のその呟きに応え、明子はゆっくりと喋り始めた。
「喋りましたよ、沼田くん」
吉田にではなく、大塚に聞かせるように、明子は言葉を続けていく。
「金曜日に、お客様先でやらせて頂いたプレゼンで。がんばって喋りましたよ」
ゆるりと、大塚の目が明子に向けられた。
驚きというよりも、真実を探っているように目だった。
「お客様から、判りやすい内容でよかったと、そう褒めていただけるくらい、がんばって、喋りました」
ゆっくりと大塚に言い聞かせるように、明子はそう言葉を続けた。
(バカ。大塚さんのバカ、バカバカ)
(こんなことやらかして、バカ)
明子を見上げる大塚と目があったとたん、それまで押さえ込んでいた大塚への感情が、一気に明子の中で動き出した。
先輩風が鼻につく人だけれど、それでも、本当に明子が困っていれば、どうしたんだと声を掛けてくれる人だった。
お酒の席で、バカな話で盛り上がって、互いに笑い転げたことだってある。
落ち込んで立ち直れなかったとき、大丈夫とか、居合わせたエレベーターの中でそう声をかけてくれた。
牧野とは常に対立していたし、姑息なことを仕掛けることも何度もあって、そして、そのたびに牧野を怒らせていたけれども、それでも、牧野だって本気で大塚を潰してやろうなどと思ったことなど、今まで一度たりとてないはずだ。
(なんで、こんなことしたのよっ)
(バカっ)
情けなくて、悲しくて、鼻の奥が熱い。
それまで、傍らで繰り広げられている吉田と明子のやりとりなど、まったく興味なさげな顔で座っていた大塚が、ぼそりとそんな言葉を吐き出した。
大塚らしくない、静かで穏やかな声だった。
けれど、その声で、明子の手のかすかな震えも止まった。
大塚のその呟きに応え、明子はゆっくりと喋り始めた。
「喋りましたよ、沼田くん」
吉田にではなく、大塚に聞かせるように、明子は言葉を続けていく。
「金曜日に、お客様先でやらせて頂いたプレゼンで。がんばって喋りましたよ」
ゆるりと、大塚の目が明子に向けられた。
驚きというよりも、真実を探っているように目だった。
「お客様から、判りやすい内容でよかったと、そう褒めていただけるくらい、がんばって、喋りました」
ゆっくりと大塚に言い聞かせるように、明子はそう言葉を続けた。
(バカ。大塚さんのバカ、バカバカ)
(こんなことやらかして、バカ)
明子を見上げる大塚と目があったとたん、それまで押さえ込んでいた大塚への感情が、一気に明子の中で動き出した。
先輩風が鼻につく人だけれど、それでも、本当に明子が困っていれば、どうしたんだと声を掛けてくれる人だった。
お酒の席で、バカな話で盛り上がって、互いに笑い転げたことだってある。
落ち込んで立ち直れなかったとき、大丈夫とか、居合わせたエレベーターの中でそう声をかけてくれた。
牧野とは常に対立していたし、姑息なことを仕掛けることも何度もあって、そして、そのたびに牧野を怒らせていたけれども、それでも、牧野だって本気で大塚を潰してやろうなどと思ったことなど、今まで一度たりとてないはずだ。
(なんで、こんなことしたのよっ)
(バカっ)
情けなくて、悲しくて、鼻の奥が熱い。