リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「なら、牧野課長が勝手に部長の名前を持ち出したんだろう。本当に部長の指示なら、金曜だって同席されるはずだっ そもそも、お前にやれと言うはずがないんだっ 私にやるように指示するはずだっ 私を差し置いて、お前ごときを出すはずがないんだっ 私がいるんだぞ。よその主任に任せるはずがないっ」
明子にと言うよりも、自分に言い聞かせているようだと、明子は吉田に僅かな憐憫を覚えた。
「どうせ、牧野課長がいつもの口八丁で部長を丸め込んで、部長からの指示のように細工したんだろ。部長が、よその課の主任ごときに、この仕事を任せるなど判断されるはずがないっ」
「どんな細工をしたと言うんですか?」
「そうだなあ。例えば、君島課長にでも頼まれただのなんだのとだな」
「頼まれたのは事実かと」
明子の言葉に、吉田はにやりと狡猾な笑みを浮かべて明子を見た。
「そんなことがあるはずない。キミは知らんのか。牧野課長はあの客のところに出入りできないんだぞ。出入り禁止だ。ウチの課長は、牧野課長とも随分と親しいからな。当然知っているはずだ。だから、牧野課長に頼むはずがないだろう。しかし、出入り禁止とはねえ。どんな失態を仕出かたんだか」
この切り札での一発逆転を狙っていたのかと、明子はどうしようもない疲労感を覚え、ため息が出た。
切り札でもなんでもないことを、どのタイミングで教えてあげればいいのかなあと、そんなことを考え始めた。
「吉田係長。もうやめましょうや。勝負はついてる。不様ですよ」
またしても、想定外の大塚からの制止の言葉に、明子の思考が止まった。
明子にと言うよりも、自分に言い聞かせているようだと、明子は吉田に僅かな憐憫を覚えた。
「どうせ、牧野課長がいつもの口八丁で部長を丸め込んで、部長からの指示のように細工したんだろ。部長が、よその課の主任ごときに、この仕事を任せるなど判断されるはずがないっ」
「どんな細工をしたと言うんですか?」
「そうだなあ。例えば、君島課長にでも頼まれただのなんだのとだな」
「頼まれたのは事実かと」
明子の言葉に、吉田はにやりと狡猾な笑みを浮かべて明子を見た。
「そんなことがあるはずない。キミは知らんのか。牧野課長はあの客のところに出入りできないんだぞ。出入り禁止だ。ウチの課長は、牧野課長とも随分と親しいからな。当然知っているはずだ。だから、牧野課長に頼むはずがないだろう。しかし、出入り禁止とはねえ。どんな失態を仕出かたんだか」
この切り札での一発逆転を狙っていたのかと、明子はどうしようもない疲労感を覚え、ため息が出た。
切り札でもなんでもないことを、どのタイミングで教えてあげればいいのかなあと、そんなことを考え始めた。
「吉田係長。もうやめましょうや。勝負はついてる。不様ですよ」
またしても、想定外の大塚からの制止の言葉に、明子の思考が止まった。