リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「そんな、バカなこと」
「でも、本当だし。土曜日、僕も会社に出てたじゃないですか。覚えてませんか? 吉田係長、牧野課長にその仕事を押し付けて、さっさと帰っちゃったじゃないですか」
松山のその言葉に「なにだよ、それ」と、川田が呆れたような声で呟いた。
「い、いや……、あれは。冗談のつもりで」
「冗談でもなんでも、押し付けて帰っちゃったでしょ。帰りますかね、普通。なにもしないで」
さすがに、僕も開いた口が塞がりませんでしたよと、松山は大げさな様子で息を吐いた。
「牧野課長は自分でやるつもりで、部長に話したんですけどね。話しを聞いた部長が、だったら小杉にやらせろって」
「そんなはず」
「木曜日に、プレゼンの予行を会議室でやったんですが、それにも部長は顔を出されましたしね」
「木曜は朝から客先にいたはずだろうっ」
「午後、三十分だけ戻られたんですよ。ああ。森口さんは木曜日いたね。部長、顔を出したよね?」
「ええ。会議室から、楽しそうに笑いながら出てきたから、何事かと」
「うふふ。あれは、楽しいプレゼンだったからねえ」
あの日のことを思い出した松山は、曲者の雰囲気を少しだけ滲ませた楽しそうな笑みを浮かべて明子を見た。
明子は、ふふふと楽しそうに頬を緩めて笑った。
部長に、子どものように拳骨を落とされた牧野を思い出すだけで、気分は楽しくなった。
「でも、本当だし。土曜日、僕も会社に出てたじゃないですか。覚えてませんか? 吉田係長、牧野課長にその仕事を押し付けて、さっさと帰っちゃったじゃないですか」
松山のその言葉に「なにだよ、それ」と、川田が呆れたような声で呟いた。
「い、いや……、あれは。冗談のつもりで」
「冗談でもなんでも、押し付けて帰っちゃったでしょ。帰りますかね、普通。なにもしないで」
さすがに、僕も開いた口が塞がりませんでしたよと、松山は大げさな様子で息を吐いた。
「牧野課長は自分でやるつもりで、部長に話したんですけどね。話しを聞いた部長が、だったら小杉にやらせろって」
「そんなはず」
「木曜日に、プレゼンの予行を会議室でやったんですが、それにも部長は顔を出されましたしね」
「木曜は朝から客先にいたはずだろうっ」
「午後、三十分だけ戻られたんですよ。ああ。森口さんは木曜日いたね。部長、顔を出したよね?」
「ええ。会議室から、楽しそうに笑いながら出てきたから、何事かと」
「うふふ。あれは、楽しいプレゼンだったからねえ」
あの日のことを思い出した松山は、曲者の雰囲気を少しだけ滲ませた楽しそうな笑みを浮かべて明子を見た。
明子は、ふふふと楽しそうに頬を緩めて笑った。
部長に、子どものように拳骨を落とされた牧野を思い出すだけで、気分は楽しくなった。