リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「昼休みが終っても席にも着かないで、化粧を直ししていたり、煙草を吸ったりしていた子たちは、部長の姿は見てないでしょうけど。ちゃんと仕事をしていた人なら、部長の姿、見てますよ」

松山のその言葉に唇を戦慄かせた吉田が、忌々しそうに新藤や坂下たち睨みつけていた。


使えないヤツめ。


彼らに、そう毒づいているような顔だった。
どうやら、社内の動向は新藤たちから発信されて、吉田に届けられていたらしい。
予想はしていたけれど、改めて目の当たりにしたその構図に、明子は呆れるしかなかった。

「まあ。吉田係長がそれを認めたくないという気持ちも判りますけどね。本当なら、吉田係長に任せるべきものを、よその課の、しかも主任に任せたわけですからね」

仕事を邪魔させた仕返しだと言わんばかりに、松山は意地の悪い声で、吉田に現実を突付けて行く。

「まあ、それが、吉田係長に対する部長の評価なんでしょう。今の客先からだって、相当、クレームが入って、リーダー、野木主任になったそうじゃないですか。認めるのはいやでしょうけど。でも、それが現実ですよ。土建会社も、あなたには任せられないと、部長は判断したんじゃないですかね」
「いい加減なことを」

吉田が顔を真っ赤にして立ち上がったが、ブラックモードのスイッチが入った松山は、そのまま淡々と言葉を続けていく。
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