リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「あいつ、本部長まで駆り出したか?」
「えーとですね。それに関しては、牧野さんも驚いてました。多分、芝居じゃないと思います」
大塚の言葉をやんわりと否定する明子に、小林も同調するように、肯定の言葉を続けた。
「確かに。驚いてたな。午後になって戻ってきて部長を見て、血相を変えてにじり寄ってた」
「帰ってきて、本部長なんて話は聞いてないですってクレームを入れたら、俺も肝が冷えたのなんのと、私が逆に愚痴られて。もう。寿命縮んだのはこっちなのに」
「俺もな、変だなとは思ったんだ。小杉は部長が一緒だって言ってたのに、なんでいるんだって。考えてみりゃ、部長も課長も行ってないなら本部長しかいねえわな、顔を出すのは」
「部長、遅いわねえなんて、沼田くんと話してたら、いきなりの登場ですもん。助けて、ドラえもんって、叫びそうでしたよ」
「嘘つけ。牧野ー、ふざけんなーって叫んだんだろ。拳突き上げて」
「あはは。正解です。本部長には一回だけなら、名前を出していいぞって、釘を刺されるし」
「むやみやたらに言いふらすなってか。こわっ」
「一回だけって、ええーっ、どうしろってことですかって頭抱えましたよ。よかったです。その一回。小林係長に使わなくて」
「まったくだ。迂闊に聞かねえでよかったよ」
「部長が本気でキレたってことか」
明子と小林のやり取りを聴いていた大塚は、くつくつと肩を揺らして笑った。
「吉田さん。言ったでしょ。土建屋の話には、絶対、牧野は絡ませるなって。人の忠告無視して、あいつを巻き込んだからこうなったんですよ」
「知っていたのかっ」
「本部長の話は、今、知りましたよ。ただ、牧野に失態なんてないことくらいは判りますよ。間違っても、客から出入り禁止にされるような失態、あいつはやりませんよ。あんたが読み違えたんですよ、勝手に。それで牧野を煽って怒らせた。本気で怒らせた。本気で怒ってるあいつを見て、部長も最後の決断したんですよ。これは、その結果です。もう諦めましょう」
俺も腹は括った。あんたも括れ。
大塚がさばさばとした口調で大塚にそう言って、笑う。それが、いっそう、吉田を煽った。
「えーとですね。それに関しては、牧野さんも驚いてました。多分、芝居じゃないと思います」
大塚の言葉をやんわりと否定する明子に、小林も同調するように、肯定の言葉を続けた。
「確かに。驚いてたな。午後になって戻ってきて部長を見て、血相を変えてにじり寄ってた」
「帰ってきて、本部長なんて話は聞いてないですってクレームを入れたら、俺も肝が冷えたのなんのと、私が逆に愚痴られて。もう。寿命縮んだのはこっちなのに」
「俺もな、変だなとは思ったんだ。小杉は部長が一緒だって言ってたのに、なんでいるんだって。考えてみりゃ、部長も課長も行ってないなら本部長しかいねえわな、顔を出すのは」
「部長、遅いわねえなんて、沼田くんと話してたら、いきなりの登場ですもん。助けて、ドラえもんって、叫びそうでしたよ」
「嘘つけ。牧野ー、ふざけんなーって叫んだんだろ。拳突き上げて」
「あはは。正解です。本部長には一回だけなら、名前を出していいぞって、釘を刺されるし」
「むやみやたらに言いふらすなってか。こわっ」
「一回だけって、ええーっ、どうしろってことですかって頭抱えましたよ。よかったです。その一回。小林係長に使わなくて」
「まったくだ。迂闊に聞かねえでよかったよ」
「部長が本気でキレたってことか」
明子と小林のやり取りを聴いていた大塚は、くつくつと肩を揺らして笑った。
「吉田さん。言ったでしょ。土建屋の話には、絶対、牧野は絡ませるなって。人の忠告無視して、あいつを巻き込んだからこうなったんですよ」
「知っていたのかっ」
「本部長の話は、今、知りましたよ。ただ、牧野に失態なんてないことくらいは判りますよ。間違っても、客から出入り禁止にされるような失態、あいつはやりませんよ。あんたが読み違えたんですよ、勝手に。それで牧野を煽って怒らせた。本気で怒らせた。本気で怒ってるあいつを見て、部長も最後の決断したんですよ。これは、その結果です。もう諦めましょう」
俺も腹は括った。あんたも括れ。
大塚がさばさばとした口調で大塚にそう言って、笑う。それが、いっそう、吉田を煽った。