リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「そうだな。小杉は大きな仕事を任されるようだからな。コワい存在だよ」
「吉田っ」
小林が初めて血相を変えた顔で、吉田を怒鳴りつけた。そんな小林を哂い、吉田は話を続けていく。
「本当のことだろう。ああ。まだ本人には知らせてないのかな。しかし、本人には、まだ聞かせないようにとな、どういうことなんだろうな。牧野も何を考えているんだか。おいしい仕事だから、自分で横取りする気かねえ。返事もしないまま、ずっと保留にしているそうじゃないか。うかつに返事をすると、他に取られかねないからな。保留にしておけば、当面、他の者にその話が持っていからることはないしな。とりあえず、時間稼ぎして、横取りできる機会を狙っているのかねえ。ああ。だから、小杉に土建屋の仕事押し付けたのか。このまま、引き続き担当して欲しいなんて話になったら、あの話は受けられないだろうしな」
「吉田っ お前なっ」
「そういう噂があるのは事実じゃないか。部下の仕事、横取りする気じゃないかってな。小杉。牧野のために、随分と頑張っているようだけどな、所詮、牧野にとっちゃただのコマなんだよ。煽てられて、いいように使われてるだけなんだ。だから、あんまりいい気にならないほうがいいぞ。今に痛い目を見るぞ。知ってるか? 大きなプロジェクト任せようって話があるんだぞ。そのチャンス、潰されそうになってるんだよ、あの男に」
知ってるか?
にたりと笑うながら、明子が傷つくさまをみてやろうというその顔に、味わったことのないような嫌悪感を明子は覚えた。
‐そういう噂があるのは……
‐おいしい仕事だから、自分で横取り……
吉田の言葉が耳鳴りのように、明子の鼓膜の奥でわんわんと反響し続ける。
「小杉。相手にするな」
戻って仕事しろ。
小林が背後から明子にそう答えかける。
その声で、耳の奥で鳴り響いていた吉田の声が消えた。
「吉田っ」
小林が初めて血相を変えた顔で、吉田を怒鳴りつけた。そんな小林を哂い、吉田は話を続けていく。
「本当のことだろう。ああ。まだ本人には知らせてないのかな。しかし、本人には、まだ聞かせないようにとな、どういうことなんだろうな。牧野も何を考えているんだか。おいしい仕事だから、自分で横取りする気かねえ。返事もしないまま、ずっと保留にしているそうじゃないか。うかつに返事をすると、他に取られかねないからな。保留にしておけば、当面、他の者にその話が持っていからることはないしな。とりあえず、時間稼ぎして、横取りできる機会を狙っているのかねえ。ああ。だから、小杉に土建屋の仕事押し付けたのか。このまま、引き続き担当して欲しいなんて話になったら、あの話は受けられないだろうしな」
「吉田っ お前なっ」
「そういう噂があるのは事実じゃないか。部下の仕事、横取りする気じゃないかってな。小杉。牧野のために、随分と頑張っているようだけどな、所詮、牧野にとっちゃただのコマなんだよ。煽てられて、いいように使われてるだけなんだ。だから、あんまりいい気にならないほうがいいぞ。今に痛い目を見るぞ。知ってるか? 大きなプロジェクト任せようって話があるんだぞ。そのチャンス、潰されそうになってるんだよ、あの男に」
知ってるか?
にたりと笑うながら、明子が傷つくさまをみてやろうというその顔に、味わったことのないような嫌悪感を明子は覚えた。
‐そういう噂があるのは……
‐おいしい仕事だから、自分で横取り……
吉田の言葉が耳鳴りのように、明子の鼓膜の奥でわんわんと反響し続ける。
「小杉。相手にするな」
戻って仕事しろ。
小林が背後から明子にそう答えかける。
その声で、耳の奥で鳴り響いていた吉田の声が消えた。