リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「なんだ。小林もじつはグルか。かわいそうに。小杉。みんなでグルになって、お前のチャンス奪う気だぞ」
楽しそうにそう告げる吉田の声と、背後からの悪意のこめられたくすくすと笑う声に、明子の手に力が入る。
握る拳に力が入った。
「そういう話、あるんですか?」
「そうだよ。あいつは」
「吉田さんに聞いてません。小林さんに聞いてるんです」
振り返り、まっすぐに小林を見て、明子はそう小林に尋ねた。
小林の目が、明子の真意を確かめようとするかのように、明子の目を覗き込んできた。
(ああ。こんな聞き方じゃ、ダメだわ)
(伝わらない)
明子は、大きく息を吸い込んで、微笑を浮かべた顔で小林に、もう一度、問いかけた。
「仕事を横取りしようとしているなんて、そんな噂になってるんですか?」
数回。瞬きをして、小林は肩の力を抜いた。
なんだ、もう聞いているのか。
そう言いたげな顔だった。
「そんなことを、言っている連中もいるらしい。なんせ、保留の理由が判らないんでな」
俺にも見当がつかん。
そう言って、肩をすくめて小林に、明子は唇をきつく噛み締めた。
(言い訳もしないで、ずっと、そんな泥を被っててくれたの?)
(バカ)
(その挙句、あんな雨の中、ずぶ濡れになって走り回ることになって)
(バカ)
(ホントに、バカ)
泥のように眠り込んでいた、疲れ果てた牧野の顔が脳裏に浮かんだ。
楽しそうにそう告げる吉田の声と、背後からの悪意のこめられたくすくすと笑う声に、明子の手に力が入る。
握る拳に力が入った。
「そういう話、あるんですか?」
「そうだよ。あいつは」
「吉田さんに聞いてません。小林さんに聞いてるんです」
振り返り、まっすぐに小林を見て、明子はそう小林に尋ねた。
小林の目が、明子の真意を確かめようとするかのように、明子の目を覗き込んできた。
(ああ。こんな聞き方じゃ、ダメだわ)
(伝わらない)
明子は、大きく息を吸い込んで、微笑を浮かべた顔で小林に、もう一度、問いかけた。
「仕事を横取りしようとしているなんて、そんな噂になってるんですか?」
数回。瞬きをして、小林は肩の力を抜いた。
なんだ、もう聞いているのか。
そう言いたげな顔だった。
「そんなことを、言っている連中もいるらしい。なんせ、保留の理由が判らないんでな」
俺にも見当がつかん。
そう言って、肩をすくめて小林に、明子は唇をきつく噛み締めた。
(言い訳もしないで、ずっと、そんな泥を被っててくれたの?)
(バカ)
(その挙句、あんな雨の中、ずぶ濡れになって走り回ることになって)
(バカ)
(ホントに、バカ)
泥のように眠り込んでいた、疲れ果てた牧野の顔が脳裏に浮かんだ。