リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「なんのために、小林さんに頼んでいったんですか。俺が戻ってくるまで、こいつも、こっちの人も、全部、大人しくさせておいてくれって、あれほど頼んだじゃないですか」
そう言いながら、明子の頭を小突く牧野に、ようやく、明子の中に"日常"が戻ってきた。
(なによぉ)
(きび団子、食べるだけ食べて、お供してくれなかったくせにっ)
理不尽だわと、明子はその頬をぷぅっと膨らませた。
「そんなことを言われましてもですね、課長さん。オニはいきなり暴れだすし。俺は桃太郎の子守は頼ましたけどですね、金太郎は頼まれてませんですしね」
あまりの言いように、ひどいですよと明子も小林に噛み付いた。
「誰が金太郎ですか?」
「鉞担いで、止めるまもなく、ずんずん行っちまうし」
「あまりにも凛々しい後姿に、惚れ惚れしてたよ、僕」
「松山さんまで、ひどいですよぅ。だって。きび団子を強奪して食べた、このお供のキジだかサルだかイヌだかは、いつ戻ってくるか判らないし」
「あのな。お供が揃ってから鬼退治は行くもんだろう。なんで揃うまで待ってないんだよ」
「こっちの状況なんか知らないで、一番高いところで、ぐぅぐうと高いびきで寝ているお供なんか、当てにしてられなかったんですよ」
「おう。いい天気で、気持ちよかったぞ。窓際」
「なにを言ってるんだか。俺のメールで焦りまくっていたくせに。階段を全速力で駆け下りてきたの誰ですかって」
けけけけと笑いながら、楽しそうにそう告げる小林に、牧野は歯軋りするように唸る。
そう言いながら、明子の頭を小突く牧野に、ようやく、明子の中に"日常"が戻ってきた。
(なによぉ)
(きび団子、食べるだけ食べて、お供してくれなかったくせにっ)
理不尽だわと、明子はその頬をぷぅっと膨らませた。
「そんなことを言われましてもですね、課長さん。オニはいきなり暴れだすし。俺は桃太郎の子守は頼ましたけどですね、金太郎は頼まれてませんですしね」
あまりの言いように、ひどいですよと明子も小林に噛み付いた。
「誰が金太郎ですか?」
「鉞担いで、止めるまもなく、ずんずん行っちまうし」
「あまりにも凛々しい後姿に、惚れ惚れしてたよ、僕」
「松山さんまで、ひどいですよぅ。だって。きび団子を強奪して食べた、このお供のキジだかサルだかイヌだかは、いつ戻ってくるか判らないし」
「あのな。お供が揃ってから鬼退治は行くもんだろう。なんで揃うまで待ってないんだよ」
「こっちの状況なんか知らないで、一番高いところで、ぐぅぐうと高いびきで寝ているお供なんか、当てにしてられなかったんですよ」
「おう。いい天気で、気持ちよかったぞ。窓際」
「なにを言ってるんだか。俺のメールで焦りまくっていたくせに。階段を全速力で駆け下りてきたの誰ですかって」
けけけけと笑いながら、楽しそうにそう告げる小林に、牧野は歯軋りするように唸る。