リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「小杉です。おはようございます。あのね、出荷指示書、すぐに調べてほしいの」

お願いと言いながら、発注依頼書ナンバーを顧客コードに変えて、明子は電話の相手に伝える。
そんな明子を、島野は興味深そうに眺めていた。

「そのお客様で、へんな出荷かかってない? 多分、明日の日付で」

上原さん、またやったかもしれないの。
顔をしかめてそう言いながら、明子は電話の向こうからの返事を待った。

「ある? あった? そう。それ。すぐ調べて。ホントに間違いないか。あのね、ウチから発注依頼を出してあるの。今のコードで。依頼書を見てみて」

ディスプレイをのぞき込むために、腰を屈めている明子に、牧野は空いている椅子を差し出して、座れと目で促し、自分は机の縁に腰を下ろした。
ようやく、大会議室から笹原と君島、岡本が戻ってきたのは、そのときだった。
室内を見回して口を開きかけた笹原は、明子の緊迫した様子の声に、その口を閉じて牧野を見た。


-広島の件です。


声は発せず、口だけを動かしてそれに答える牧野に、笹原は判ったというように頷いて、空いている牧野の席で、明子を眺めていた。
君島と岡本も、明子の様子を窺いながら、それぞれの席に着く。

そんな中で、明子は見つけ出した出荷指示書について、電話の相手とあれこれとやり取りを続けていた。
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