リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「サーバーまで出荷するのに、紐づいてる依頼書もなにもないなんて、おかしいって。大至急、それ、確認とって」
相手の返事を待ちながら、明子は島野を見て、右手の親指と人差し指で丸を作り、大丈夫ですというように頷いてみせる。
島野が目を細めて、明子の後頭部を褒めるように撫でた。
(うきゃあああああっ)
(髪、撫でられてますよ?)
久しく、男性に髪を撫でられるなどということがなかっただけに、その感触に明子は首を竦ませた。
頭上から、牧野の忌々しそうな舌打ちが聞こえ、その手を払いのけている気配があった。
島野が楽しそうに、牧野を見上げて、くすりと笑う。
‐島野、遊ぶのはあとにしろ。
君島の苦笑交じりの声に、島野は笑いながらそれでも「はい」と頷き、牧野は面白くなさそうに鼻を鳴らしていた。
ちょっといいですかと、島野に一言そう断って明子はマウスを取り上げると、件の客先の住所を調べだした。
「それさ、間違いだったら、その運送費とか全部、営業持ちでしょ。配送先、新潟じゃない。けっこう、かかるよね。この時期にその赤はちょっと痛いよね。うん……、お願い。結果が判ったら、ウチの島野係長まで連絡を入れて。もし、広島の案件だった場合、明日、間違いなく配送をかけられるかどうかも含めて。うん……、ごめんね。面倒かけて。お願いします。上原さんが出てきたら、むぎゅーって、首を絞めていいから。うん。ぎゅうぎゅうに締め上げていいから、もう」
お願いしますと、笑い混じりに最後にもう一言そう添えて受話器を置くと、島野に目を向けた。
「あったんだ?」
「多分」
「営業担当コードが上原さんのもの、全部調べてもらったのに、出でこなかったんだけど。他の人だったの?」
島野のその問いかけに、明子は首を何度も横に振った。
相手の返事を待ちながら、明子は島野を見て、右手の親指と人差し指で丸を作り、大丈夫ですというように頷いてみせる。
島野が目を細めて、明子の後頭部を褒めるように撫でた。
(うきゃあああああっ)
(髪、撫でられてますよ?)
久しく、男性に髪を撫でられるなどということがなかっただけに、その感触に明子は首を竦ませた。
頭上から、牧野の忌々しそうな舌打ちが聞こえ、その手を払いのけている気配があった。
島野が楽しそうに、牧野を見上げて、くすりと笑う。
‐島野、遊ぶのはあとにしろ。
君島の苦笑交じりの声に、島野は笑いながらそれでも「はい」と頷き、牧野は面白くなさそうに鼻を鳴らしていた。
ちょっといいですかと、島野に一言そう断って明子はマウスを取り上げると、件の客先の住所を調べだした。
「それさ、間違いだったら、その運送費とか全部、営業持ちでしょ。配送先、新潟じゃない。けっこう、かかるよね。この時期にその赤はちょっと痛いよね。うん……、お願い。結果が判ったら、ウチの島野係長まで連絡を入れて。もし、広島の案件だった場合、明日、間違いなく配送をかけられるかどうかも含めて。うん……、ごめんね。面倒かけて。お願いします。上原さんが出てきたら、むぎゅーって、首を絞めていいから。うん。ぎゅうぎゅうに締め上げていいから、もう」
お願いしますと、笑い混じりに最後にもう一言そう添えて受話器を置くと、島野に目を向けた。
「あったんだ?」
「多分」
「営業担当コードが上原さんのもの、全部調べてもらったのに、出でこなかったんだけど。他の人だったの?」
島野のその問いかけに、明子は首を何度も横に振った。