リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「前は支援人員の管理情報って、リアルタイムでシステムに反映していましたけど、キャンセル情報がうまく反映できないときがあるんで、改修依頼を出したんです。そしたら、情報全てが、月次処理流さないと反映されなくなってしまったんですよ」
「はあ?!」
「はあって言われてもぉ。そうなっちゃったんですよぉ」

牧野はじたばたと暴れだしそうな明子の頭頂部に手を置いて、判った判ったと、明子を宥める。

「こんなんじゃ困るって、クレームを入れたら、支援の人員なんて何百人もいるわけじゃないんだから、月次処理流すまで、台帳でも作って管理しておけって、システム部から回答がきたって。沢口さん、カンカンでしたよ。なんのための社内システムなんですかあ。情報の共有化、できないですよぅ」

システムさん。答えてくださいよぅ。
これでもかと頬を膨らませている明子に、牧野も「なんでだろうなあ」と、呆れた口調で呟きながら、その目を君島に向けて、なにかを確認するように頷きあった。
明子はその横顔を見つめながら、苦情の申し立てを続けた。

「だから、今の島野係長みたいに、管理システムで参照するとアサインできるのに、なんでできないんだってクレームがきて、システム部と揉めることが多くなったんですよ。運用にしてみれば、システム部で勝手に運用ルールを変更したくせにって話じゃないですか。だから、みんな、怒ってるんですよ」
「そりゃ、俺でも怒るな。ふざけんなってな。安藤。心当たりあるか?」

牧野に、突然、名指しでそう尋ねられた安藤は、頬をひきつらせて、きょときょとと周囲を見渡した。
その様子に、室内にはやれやれというため息が溢れた。
また、お前たちか。
そんな声が聞こえてるようだった。

明子はがくりと頭を垂れて、彼に、というか、彼らに背を向けた。


(また、あの子たちに、変なアヤ、つけちゃったってこと?)
(もう、いやー)


面倒くさいことにならなきゃいいなあと、明子はそんなことを頭の片隅で考えた。
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