リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「さて。小杉くん。お昼はどうしようね」

そして、この騒ぎのそもそもの元凶は、皆が笑い転げているその間、どこ吹く風とばかりの涼しい顔でパソコンを弄っていた。
熱心になにをしているのかと思っていたら、どこでランチをするか、調べていたらしい。
店のチェックはしたから、なんでもござれだよと言う島野を、明子は呆れ顔で見るしかなかった。
また、イスごと隣に居座るちょいワル係長に、どう対処したものやらと、頭を抱える。

「なにか、食べたいものは?」
「ありません。と言うか、行きません」

明子は、つんっとそっぽを向いた。
島野とそんなやりとりをしながら、営業のほうはまとめるのも大変かもと、すでに聞いている現象を箇条書きにして書き出したものを見て、明子は顔をしかめた。
会話を交わしながらも仕事の手は止めない。
そんな明子を、島野は面白そうに眺めていた。

「お昼ご飯、取られちゃったでしょ。妖怪・食いしん坊に。というか。怪獣・腹ぺこザウルスに」
「誰のせいですか?」
「私です。それがなにか?」
「反省してませんね?」
「してませんよ。必要ないでしょう」
「いいです。おにぎりと缶詰を食べます」
「もっとおいしいもの、ごちそうさせてくださいよ」
「島野さんっ あんた、さっさと広島に戻れってんだよっ」

牧野が気持ち苛ついたような声で、島野に帰れ帰れ帰れと、まるで自棄を起こしたように帰れコールを連呼する。
そんな牧野を、島野はふんと鼻先で笑った。

「生憎。君島課長から、今日はこっちにいるよう言われておりますので」

ここにいる正当な理由が、私にはあるんですと、にたりと笑いながら牧野にそう言い返した。
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