リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「会議室に戻りなさい。私も戻りますから。ちゃんと、部長の話を聞いてください」
吐き捨てるようにそう言うと、牧野は美咲を待つことなく、スタスタと会議室に戻ってしまう。その牧野のあとを、美咲は慌てて追いかけていった。
プリーツがきれいに入ったスカート部分を、ふわふわひらひらとさせ、花を纏っているようだった。
牧野の逞しい背中と、その後を追っていく華奢で可憐な後ろ姿に、明子の気持ちが沈んでいきそうになる。
あの背中を追いかける誰かの姿なんて、見たくなかった。
それを必死に堪えた。
会議室の入口から一部始終を見ていた君島と岡本も、苦笑いを浮かべながら、会議室へと戻っていった。
ドアが閉ざされる寸前、おそらく、岡本のものと思われる右手が見えて、明子たちに向かい親指をたてた。
お疲れさん。
そんな労いの声が聞こえるようだった。
やがて、静まり返った室内で、明子は芝居かがった様子で盛大に息を吐き出し、島野を見た。
「島野さん」
「ん?」
明子の呼び掛けに、島野は「なんですか」と、優しく声で答える。
「いっそ、広島に連れてってくれませんか?」
「小杉くんを? そりゃ、よろこんで」
そう言って、また明子を手を取る島野に、明子は今度こそ膝から崩れ落ちた。
「そうじゃなくてー」
もう、島野さんこそ最強のモンスターですよ。
力ない声でそういう明子に、小林たちも笑い出した。
吐き捨てるようにそう言うと、牧野は美咲を待つことなく、スタスタと会議室に戻ってしまう。その牧野のあとを、美咲は慌てて追いかけていった。
プリーツがきれいに入ったスカート部分を、ふわふわひらひらとさせ、花を纏っているようだった。
牧野の逞しい背中と、その後を追っていく華奢で可憐な後ろ姿に、明子の気持ちが沈んでいきそうになる。
あの背中を追いかける誰かの姿なんて、見たくなかった。
それを必死に堪えた。
会議室の入口から一部始終を見ていた君島と岡本も、苦笑いを浮かべながら、会議室へと戻っていった。
ドアが閉ざされる寸前、おそらく、岡本のものと思われる右手が見えて、明子たちに向かい親指をたてた。
お疲れさん。
そんな労いの声が聞こえるようだった。
やがて、静まり返った室内で、明子は芝居かがった様子で盛大に息を吐き出し、島野を見た。
「島野さん」
「ん?」
明子の呼び掛けに、島野は「なんですか」と、優しく声で答える。
「いっそ、広島に連れてってくれませんか?」
「小杉くんを? そりゃ、よろこんで」
そう言って、また明子を手を取る島野に、明子は今度こそ膝から崩れ落ちた。
「そうじゃなくてー」
もう、島野さんこそ最強のモンスターですよ。
力ない声でそういう明子に、小林たちも笑い出した。