リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「そうですねえ。まあ……、いろいろと」
「面倒そうか?」
「操作ミスさえなければ、問題ないんだけど、操作ミスしちゃうと……、ねえ。みたいなことを、あれこれと訴えられました。画面の遷移がおかしいとか、アボートするとか、そういうものが多いですね」
「たった一回の間違いも許しませんって? なんだ、そりゃ」

よく今まで我慢してたな、営業も。
呆れつつも感心しているその声に「我慢というより、悟りの境地に達したみたいでしたよ」と、明子は答えた。

「仕方がないな。もう、なにを言ってもムダ、みたいな。運用と同じように、何度も問い合わせていたそうです、こっちに」

その言葉に牧野と君島は顔を見合わせ、交わした目で会話をしていた。


(いや……、だから……、目だけで話しをするのは止めて)
(怖いから)


思わず、明子は小林を振り返った。

「係長。ツーさまとカーさまが、なにやら目から光線を出して、怪しい密談をしています」

怖いですぅーと言うと、小林の軽い笑い声が聞こえた。

「そっか。石にされちまうから、目を合わせず反らしとけ」

振り返ることはなくそう言う小林に「了解です」と、明子は答えた。そうして、また二人に目を向けると、牧野の手の中にあるものに気が付いた。
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