リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「まあな。会計ならともかく、人事や労務系の業務ソフトは、ウチは課はあまり馴染みがないからな。そのあたりは小杉主任から、いろいろ、勉強させてもらうといい」
その言葉で、そういうことかと、ようやくサポートの目的が明子にも理解できた。
三年間、在籍していた運用支援部では、主に支援サポートを担当していた。
自社製品を導入した客先で、実務に当たる社員を相手に、システム導入にあたっての運用ルールの説明も含めた導入講習会や、フォロー講習会で指導することはもとより、操作マニュアル、フォローマニュアルの作成なども仕事の一環だった。
そのため、カスタマイズされていない標準設計のパッケージソフトなら、一通り、勉強している。その経験もあってか、明子は自社製品の仕様については、深くはないが広く網羅していた。
少なくとも、第二システム部においては、その知識量は群を抜いていた。
そして、教育支援をしていくには、自社製品の知識はもとより、業務に関する知識も必要となる。
SEにも、もちろん業務知識が必要となるが、彼らの場合は、それぞれがある程度、専門とする分野があった。全ての業務に精通しているわけではない。
総務部向きの業務ソフトは、第二システム部よりも第一システム部が専門としている分野だった。
現行システムの改修ではなく、パッケージソフトの導入になるのであれば、総務部の案件に関しては、第一システム部に引き渡したほうが無難ではあるが、担当が君島でなくなった時点で仕事がなくなる可能性があると、今日の会議で林田に判断されたのだろう。
あるいは、君島が引き続き担当してくれるならばと言う条件を、客先から付けられているのかもしれない。
理由は判らないが、とにかく、本来は専門外の業務であるが、君島の課に引き続きこの案件は任せるという決定が、今日の会議でされたに違いなかった。
それゆえ、浅いながらも、野木よりはいくぶん業務に精通している明子に、そのサポートが任せられたということかと、明子は一人納得した。
野木もその思惑が判ったのだろう。なるほどと小さく頷き、「よろしくお願いします」と明子に軽く頭を下げた。
その言葉で、そういうことかと、ようやくサポートの目的が明子にも理解できた。
三年間、在籍していた運用支援部では、主に支援サポートを担当していた。
自社製品を導入した客先で、実務に当たる社員を相手に、システム導入にあたっての運用ルールの説明も含めた導入講習会や、フォロー講習会で指導することはもとより、操作マニュアル、フォローマニュアルの作成なども仕事の一環だった。
そのため、カスタマイズされていない標準設計のパッケージソフトなら、一通り、勉強している。その経験もあってか、明子は自社製品の仕様については、深くはないが広く網羅していた。
少なくとも、第二システム部においては、その知識量は群を抜いていた。
そして、教育支援をしていくには、自社製品の知識はもとより、業務に関する知識も必要となる。
SEにも、もちろん業務知識が必要となるが、彼らの場合は、それぞれがある程度、専門とする分野があった。全ての業務に精通しているわけではない。
総務部向きの業務ソフトは、第二システム部よりも第一システム部が専門としている分野だった。
現行システムの改修ではなく、パッケージソフトの導入になるのであれば、総務部の案件に関しては、第一システム部に引き渡したほうが無難ではあるが、担当が君島でなくなった時点で仕事がなくなる可能性があると、今日の会議で林田に判断されたのだろう。
あるいは、君島が引き続き担当してくれるならばと言う条件を、客先から付けられているのかもしれない。
理由は判らないが、とにかく、本来は専門外の業務であるが、君島の課に引き続きこの案件は任せるという決定が、今日の会議でされたに違いなかった。
それゆえ、浅いながらも、野木よりはいくぶん業務に精通している明子に、そのサポートが任せられたということかと、明子は一人納得した。
野木もその思惑が判ったのだろう。なるほどと小さく頷き、「よろしくお願いします」と明子に軽く頭を下げた。