リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「あちらで、これからの打ち合わせに出て来られる方は、金曜日に出席頂けた方たちですか?」

明子の問いかけに、君島は、多分、そうだろうと頷いた。

「金曜は、野次部隊はいなかったんだろう」

牧野が笑い声で、そんなことを尋ねてきた。

「ええ。みなさん、とても協力的で、大変スムーズな進行でした」

耳に入ったらしい、牧野の野次部隊という単語に「国会ですか」と、野木は笑った。

「野木、あそこの打ち合わせはな、最初のうちは、必ず野次部隊部隊が動員されるんだ。な? 沼田」

牧野の茶化し交じりの言葉に頷く沼田を見て、野木は仰け反るようにして驚いた。

「マジか。いや、荒れるとは、聞いたことあるけどさ。荒らし専門がいるってか」

沼田に確認しながら「うひゃーっ」と悲鳴をあげる野木に「まあ、今回はもうその心配はないから安心しろ」と、牧野は笑いながら明子を見上げ、にたりと笑う。

「今回は、この姉ちゃんが、ブンブンと蹴散らしてきたらしいから」
「喧嘩上等って。小杉さん、かっこよすぎ」
「そうそう。喧嘩上等ってな」

冷やかすでもなく、心底、そう思ってるような声の紀子に「やめてー」と、明子は訴えた。
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