リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「それ、牧野課長が置いたんですか? なんでしたっけ? ポ、ポ」
「ポトス。挿して増やしたやつだ」
「そんなことしたりするんですか? 意外なんですけど」
「よく言われるよ。部長なんて、それはお前の餌かって笑うんだぜ。ひでえよな」
「肉食獣ですもんねえ。生の葉っぱ、嫌いなんですよねえ」
ふふふと笑いながら、牧野の生野菜嫌いを思い出した明子の切り返しに「うるせっ」と、牧野は言い返しながら、明子にポインセチアを差し出した。
条件反射のように、明子はそれを受け取った。
「やるよ。持ってけ」
「いや、いいですよ。そこに置くんですよね」
「まだ二鉢あるから、持ってくるし」
「いいですよ。そこに置いてください」
「殺風景な窓の辺りにでも、置いとけ。あの部屋、日当たりいいだろ」
「持って帰るのが、大変ですよ。結構、重いし」
ぼそぼそとした小声の会話だが、君島の耳には十分届く。
面白そうに眺めている君島の目に気付いた牧野は、失敗したなと言う顔で、君島に「なんですか?」と聞いた。
「飲みに、行こうな」
「同行しまーす」
君島の言葉に反応した小林の挙手に、牧野はうんざりとした顔で、イスの背もたれにしがみつくようにうなだれた。
-聞いてんじゃねえよ。地獄耳かよ。
そんなことをボヤいて、行儀悪くイスに座ったまま席に戻ってしまう牧野に、話はもう終わりかなと、明子は君島を見た。
「ポトス。挿して増やしたやつだ」
「そんなことしたりするんですか? 意外なんですけど」
「よく言われるよ。部長なんて、それはお前の餌かって笑うんだぜ。ひでえよな」
「肉食獣ですもんねえ。生の葉っぱ、嫌いなんですよねえ」
ふふふと笑いながら、牧野の生野菜嫌いを思い出した明子の切り返しに「うるせっ」と、牧野は言い返しながら、明子にポインセチアを差し出した。
条件反射のように、明子はそれを受け取った。
「やるよ。持ってけ」
「いや、いいですよ。そこに置くんですよね」
「まだ二鉢あるから、持ってくるし」
「いいですよ。そこに置いてください」
「殺風景な窓の辺りにでも、置いとけ。あの部屋、日当たりいいだろ」
「持って帰るのが、大変ですよ。結構、重いし」
ぼそぼそとした小声の会話だが、君島の耳には十分届く。
面白そうに眺めている君島の目に気付いた牧野は、失敗したなと言う顔で、君島に「なんですか?」と聞いた。
「飲みに、行こうな」
「同行しまーす」
君島の言葉に反応した小林の挙手に、牧野はうんざりとした顔で、イスの背もたれにしがみつくようにうなだれた。
-聞いてんじゃねえよ。地獄耳かよ。
そんなことをボヤいて、行儀悪くイスに座ったまま席に戻ってしまう牧野に、話はもう終わりかなと、明子は君島を見た。