リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「よし。私からの前祝いだ」
じゃん。
そんな効果音を付けて、買ってきたチョコレートが入っている紙袋を、明子は木村に差し出した。
「太っ腹にも、丸々一箱、進呈しましょう」
「うひゃっ オレンジのチョコだっ あ、他のも入ってる」
なんだろうと目を輝かせて袋を覗いた木村が、喜声をあげた。
「それは、お湯で溶かすとホットチョコになります。彼女と飲んでください」
「あざーっす。甘いの、大好きなんですよ。このチョコレート屋さんにも行きたいって、ずっと強請られているんです」
「二階が小さなカフェスペースになってるから、デートにもお薦め。イートインできること、まだそんなに知られていないみたいで、土日でも空いてるのよ」
なら、おばちゃんも連れて行ってやろうと、木村はさらに喜んだ。
重く沈みそうな空気を決して沈ませない木村の明るさに、小林たちも笑っている。
「ああ。思い出した。ポインセチア」
電話を切って話を聞いていた牧野が、唐突に木村を見ながらそんなことを言い出した。
「それ、クリスマスの時期に出回るだろ」
「はい。よく見ます」
「北欧だと、赤は魔除けの効果があるってことで、この時期になると飾られるんだよ」
「へえ。魔除けのお守りにもなるんですね。病魔っていうのも、魔物のうちかな」
「多分な」
「よし。おばちゃん家の玄関に飾っとこう」
課長のパワフルパワーも付いてそうだし。
にこにこと嬉しそうに笑いながら、木村は足元に置いてある鉢植えに目を向けた。
(家族になって、一緒に、笑って泣いて見送ろうって決めたんだね、キミは)
(全部、ちゃんと受け止めてあげようって)
(そう決めたんだね)
よくよく今日は、人様の覚悟というものに触れる日だわねと、そんなことを思いながら、その言葉の重みを明子は感じた。
じゃん。
そんな効果音を付けて、買ってきたチョコレートが入っている紙袋を、明子は木村に差し出した。
「太っ腹にも、丸々一箱、進呈しましょう」
「うひゃっ オレンジのチョコだっ あ、他のも入ってる」
なんだろうと目を輝かせて袋を覗いた木村が、喜声をあげた。
「それは、お湯で溶かすとホットチョコになります。彼女と飲んでください」
「あざーっす。甘いの、大好きなんですよ。このチョコレート屋さんにも行きたいって、ずっと強請られているんです」
「二階が小さなカフェスペースになってるから、デートにもお薦め。イートインできること、まだそんなに知られていないみたいで、土日でも空いてるのよ」
なら、おばちゃんも連れて行ってやろうと、木村はさらに喜んだ。
重く沈みそうな空気を決して沈ませない木村の明るさに、小林たちも笑っている。
「ああ。思い出した。ポインセチア」
電話を切って話を聞いていた牧野が、唐突に木村を見ながらそんなことを言い出した。
「それ、クリスマスの時期に出回るだろ」
「はい。よく見ます」
「北欧だと、赤は魔除けの効果があるってことで、この時期になると飾られるんだよ」
「へえ。魔除けのお守りにもなるんですね。病魔っていうのも、魔物のうちかな」
「多分な」
「よし。おばちゃん家の玄関に飾っとこう」
課長のパワフルパワーも付いてそうだし。
にこにこと嬉しそうに笑いながら、木村は足元に置いてある鉢植えに目を向けた。
(家族になって、一緒に、笑って泣いて見送ろうって決めたんだね、キミは)
(全部、ちゃんと受け止めてあげようって)
(そう決めたんだね)
よくよく今日は、人様の覚悟というものに触れる日だわねと、そんなことを思いながら、その言葉の重みを明子は感じた。