リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「君島さんの肩も、ホントに、ガッチガチですね」
「だろ。肩も腰も背中も、ギシギシしてるよ」
「肩甲骨のあたり、全然、指が入らないですよ」

くうっと、親指で、肩甲骨を押し広げるように、明子は指を食い込ませようとするが、ものすごい張りにその指が押し返される。

「お前のマッサージは、マジで効くな。なんか、溜まっていた血が流れていく気がするよ」
「そうですか? まあ、牧野さんに鍛えられてますからね」

何気なく言ったその言葉に、君島はふっと息を吐くように笑い、小林は机に突っ伏した。


(あれ?)
(なんか、地雷?)
(踏んだ?)


その反応に、明子は勘ぐるように目つきで二人を眺めた。

「お嬢さんや。俺は惚けるなっていったよな?」

振り返った小林が、明子に説教口調でそんなことを言い出した。

「何も惚けてませんよ?」
「あのな。隠すからきっちり隠せ。中途半端にチラ見せすんな。パパと、とうさんは、ドキドキしちまうから」
「なんですか、それは」
「あのな。どこで、牧野の肩を揉んでるんだ、お嬢さんは?」

ほれ、答えてみろという小林に、明子はあっさりと「会社ですよ」と答えた。
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