リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「なあ。お前と牧野、どうなってんだ、今?」
「どうって……。これといって。別に。なにもないですよ」

飾る言葉もない、まっすぐな君島のその問いかけに、明子は困ったように眉を寄せる。
なにかが変わったように感じるけれど、なにがどう変わったのか。
それは明子にも説明できなかった。
今の二人のこの関係を、どう呼べばいいのか。
それを考えだしてしまうと、明子は他にはなにも考えられなくなって、無言になってしまう。
ただ、困惑してしまう。
自分の気持ちだけを言葉にしていいなら、それはきっと愛だろう。
淡く幼い恋心から生まれた、愛だ。
でも、牧野が自分に抱いてくれているものがなんなのか。
それがどうやっても、明子には推し量れない。
明子の小さなため息に、君島は明子を見上げ、頬を突っつく。

「どうした? なにがあった?」

言ってみろという兄貴分のその言葉に、それでも明子は目を瞬かせるだけで、君島の肩を叩き続け、首を振った。

「別に。なにも」
「お前の家に行ってるんだろ。あいつ?」

探るような目で、明子を見てそう尋ねてきた君島に、下手な言い繕いをしても騙されてはくれないと観念して、明子はこくんと頷いた。
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