リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「ほれ、みろ。そういう色っぽい話になってるんだろうが」
パパを騙せると思うなよ。
からかい混じりの声で明子にそんなことを言う小林に「そんなんじゃないですよ」と、明子はまた頬をぷっくりと膨らませ反論した。
「一度だけですよ」
それに、色っぽいことなんてないですし。
からかう小林に、少し怒ったような声で、明子はそう伝えた。
厳密に言えば、あの腕に抱きしめられてはいるけれど。
油断して思い出すと、まだ顔が火照りそうな目にもあったけれど。
けれど、それは多分、小林が期待しているような類の話ではない。
だから、なにもないと否定した。
「仕事の話しを、しにきたんですもん」
明子のその反論を、今度は君島が笑う。
「仕事話なら、会社ですればいいだろう」
「ちょっと……、微妙な個人情報が絡む話しだったんで。牧野さんも会社は避けたかったようで」
「……あの話、か?」
今朝の一件を思い出した小林はそれを察して、明子にそう尋ねた。
明子も素直にそれに頷いた。
なんだと尋ねる君島の目に、小林は「ほれ。牧野がずっと保留にしている、あの話だよ」と答えた。
「ああ。あれか。なんなんだ、一体」
「前に結婚話があった男が、そこの会社にいるんだとさ」
「……そりゃ、すごいものを引いたな、お前も」
「私の引きというよりも、ぜったいに、あの大男の引きだと思うんですけどぉ」
ぷぅっと膨れる明子の頬を、君島はまた突っついた。
「ホントに、子どもの顔になるからやめろって」
囁かれるような君島の声に、明子は今度はむぅっと口を尖らせた。
パパを騙せると思うなよ。
からかい混じりの声で明子にそんなことを言う小林に「そんなんじゃないですよ」と、明子はまた頬をぷっくりと膨らませ反論した。
「一度だけですよ」
それに、色っぽいことなんてないですし。
からかう小林に、少し怒ったような声で、明子はそう伝えた。
厳密に言えば、あの腕に抱きしめられてはいるけれど。
油断して思い出すと、まだ顔が火照りそうな目にもあったけれど。
けれど、それは多分、小林が期待しているような類の話ではない。
だから、なにもないと否定した。
「仕事の話しを、しにきたんですもん」
明子のその反論を、今度は君島が笑う。
「仕事話なら、会社ですればいいだろう」
「ちょっと……、微妙な個人情報が絡む話しだったんで。牧野さんも会社は避けたかったようで」
「……あの話、か?」
今朝の一件を思い出した小林はそれを察して、明子にそう尋ねた。
明子も素直にそれに頷いた。
なんだと尋ねる君島の目に、小林は「ほれ。牧野がずっと保留にしている、あの話だよ」と答えた。
「ああ。あれか。なんなんだ、一体」
「前に結婚話があった男が、そこの会社にいるんだとさ」
「……そりゃ、すごいものを引いたな、お前も」
「私の引きというよりも、ぜったいに、あの大男の引きだと思うんですけどぉ」
ぷぅっと膨れる明子の頬を、君島はまた突っついた。
「ホントに、子どもの顔になるからやめろって」
囁かれるような君島の声に、明子は今度はむぅっと口を尖らせた。