リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「多少、じゃないな。かなりだな。口は悪いし、態度はデカいし、きついところもあるけど。できないことを、やれとは言わんよ、牧野は。頭ごなしに、一方的に決めつけて叱りつけたり、突き放すようなことだってな。気に入ってるヤツなら、特にだ」
「じゃ。私、気に入ってなかったんですね、きっと」
「バカ。気に入られてるか、そうでないかくらい、あいつの態度を見てれば判るだろ?」
「でも、言われましたもん」
言われたんですもん。
明子は、今まで誰にも話したことがなかったことを、堰が切れたように喋りだした。
「甘えるなって。女を理由にして甘えるなって。他の子が泣いてると、慰めるのに、私にはそれを甘えだと言って。泣くこともぜったいに、許してくれなかった。お祖父ちゃんが倒れたって連絡がきたときだって。病院に行きたくて、急ぎだった仕事を頼んでも、聞いてくれなかった。そんなことで仕事を放り出すのかって」
そう、言われましたもん。
悲しそうな声でそう呟く明子に、小林は眉間に縦皺を刻んだ顔で首を捻って「そんなヤツじゃ、ねえはずなんだけどなあ」と、不思議がるように呟いた。
君島は、やや考え込んだ後、明子を見上げて、「そっか、あのバカ、そんなことを言ったのか」と、少しだけ苦々しい笑みを頬に浮かべた。
「あとで、兄貴二人でぎっちり締め上げて、これでもかってくらい、叱っとくからな」
叩くことを止めて肩に乗せられたままになっている明子の手を、慰めるようにポンポンと叩く君島の優しい響きを持ったその声に、明子はなにも答えられなかった。
「じゃ。私、気に入ってなかったんですね、きっと」
「バカ。気に入られてるか、そうでないかくらい、あいつの態度を見てれば判るだろ?」
「でも、言われましたもん」
言われたんですもん。
明子は、今まで誰にも話したことがなかったことを、堰が切れたように喋りだした。
「甘えるなって。女を理由にして甘えるなって。他の子が泣いてると、慰めるのに、私にはそれを甘えだと言って。泣くこともぜったいに、許してくれなかった。お祖父ちゃんが倒れたって連絡がきたときだって。病院に行きたくて、急ぎだった仕事を頼んでも、聞いてくれなかった。そんなことで仕事を放り出すのかって」
そう、言われましたもん。
悲しそうな声でそう呟く明子に、小林は眉間に縦皺を刻んだ顔で首を捻って「そんなヤツじゃ、ねえはずなんだけどなあ」と、不思議がるように呟いた。
君島は、やや考え込んだ後、明子を見上げて、「そっか、あのバカ、そんなことを言ったのか」と、少しだけ苦々しい笑みを頬に浮かべた。
「あとで、兄貴二人でぎっちり締め上げて、これでもかってくらい、叱っとくからな」
叩くことを止めて肩に乗せられたままになっている明子の手を、慰めるようにポンポンと叩く君島の優しい響きを持ったその声に、明子はなにも答えられなかった。