リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「そうかもしれませんけど」
「女子たちだって、けっきょく、羨ましかったんだろ。一人だけ、特別なところにいる小杉が。完璧に、立ち位置的には俺たち側だったからな。そこに入れるヤツは限られてるんだよ」
「そうですね。私は、女の子っていうよりは、カテゴリー的には、君島さんや小林さんと同じ属性のグループにいるんだなあって。そう思ってました」
「いいじゃねえか。なにが不満だよ。その他大勢なんてカテゴリーに放り込まれているより、ずっといいだろ。間違いなく、あいつに必要にされている群類だし、かなり面白いぞ、その中にいると。退屈することがねえ」
「でも……」

けらけらと笑いながら言い諭す小林に、明子はやや陰りのある自虐めいた笑みを浮かべて「でも……」と硬い声で呟いた。

「でも?」
「でも、私にはそれが重かった。潰れそうなくらい、重かったんです」

やや目を伏せ気味にして、明子は淡々と言葉を続けていった。

「みんなと同じ、女の子って括りでいいのにって。いつも、苦しくて重くて辛くて。異動の話がきて、これで楽になれるって真っ先にそう思ってしまったくらい。ホントに限界だったんです。頑張って頑張って頑張って。隣でお仕事していることを許される、そんな人たちのなかにいることが」

黙り込んだまま、小林と明子のやりとりを聞いていた君島は「首も頼む」と、明子に笑いかけた。
その声で、一息ついた明子は「はい」と頷くと、両手に握り拳を二つ作り、それで首を挟むようにも君島の首筋を揉みこんでいく。

「おぅ。効くな」

君島の気持ちよさそうなゆったりとした声に、明子の頬が自然と緩んだ。
張り詰めそうになっていた気持ちまで、ほどけていくようだった。
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