リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「またこっちに異動になって。正直、ちょっとイヤだったんですよね。よりにもよって、また、牧野さんと一緒かって」
「牧野が聞いたら、拗ねて怒って大変だから。ぜったい、本人の前で言うなよ、それ」
小林が慌てたようにそう言って、明子に釘を差した。
「言いませんよ。面倒ですもん。でも、ホントですよ。せっかく離れたのにって。また、あんな苦しい思いするのかなあって。それがイヤだったから、だから、前みたいに無理に頑張るのはやめようって。もう、相手にしてもらえなくていいから、できることだけをできるだけ、やってようって」
「頑張らなくてもアレだったんだ。さすがアッコちゃんだな。仕事をやっつける秘密の呪文をたくさん持ってるな」
君島の揶揄まじりの言葉に、明子は、あははと声を上げて笑った。
「テクマクマヤコン、お仕事マンになれーって。よく呪文を唱えてましたねえ」
「わはは。それは、俺も何度か聞いたな」
あったあったと、小林も懐かしそうな思い出し笑いを浮かべた。
「牧野さんも、昔みたいにできそうもないような仕事、無理やり押し付けてくることもなかったから、今度は大丈夫かなあって思ってたら、あんな仕事の話を持ってきて、できるかって言うから。牧野さんの『できるか?』は『できるからやれ』ってことだから、ヤダって言ってもやらせるんだろうなあって。甘えること許してくれない人だから、きっと、なにがなにでもやらせるんだろうなあって。なんだ、けっきょく、ただの手駒か。やっぱり、仕事をやらせる駒を増やしたくて、押し付けられたお荷物、仕方なく預かっただけなんだあって。そう思ったら、お店を飛び出して、帰っちゃってました」
「お嬢さん。だからな」
「そんなんじゃないって判ってますよ。大丈夫です」
心配しなくても。
小林の言葉を先んじてそう答える明子に、大変よくできましたというように、小林はよしよしと頷いた。
「牧野が聞いたら、拗ねて怒って大変だから。ぜったい、本人の前で言うなよ、それ」
小林が慌てたようにそう言って、明子に釘を差した。
「言いませんよ。面倒ですもん。でも、ホントですよ。せっかく離れたのにって。また、あんな苦しい思いするのかなあって。それがイヤだったから、だから、前みたいに無理に頑張るのはやめようって。もう、相手にしてもらえなくていいから、できることだけをできるだけ、やってようって」
「頑張らなくてもアレだったんだ。さすがアッコちゃんだな。仕事をやっつける秘密の呪文をたくさん持ってるな」
君島の揶揄まじりの言葉に、明子は、あははと声を上げて笑った。
「テクマクマヤコン、お仕事マンになれーって。よく呪文を唱えてましたねえ」
「わはは。それは、俺も何度か聞いたな」
あったあったと、小林も懐かしそうな思い出し笑いを浮かべた。
「牧野さんも、昔みたいにできそうもないような仕事、無理やり押し付けてくることもなかったから、今度は大丈夫かなあって思ってたら、あんな仕事の話を持ってきて、できるかって言うから。牧野さんの『できるか?』は『できるからやれ』ってことだから、ヤダって言ってもやらせるんだろうなあって。甘えること許してくれない人だから、きっと、なにがなにでもやらせるんだろうなあって。なんだ、けっきょく、ただの手駒か。やっぱり、仕事をやらせる駒を増やしたくて、押し付けられたお荷物、仕方なく預かっただけなんだあって。そう思ったら、お店を飛び出して、帰っちゃってました」
「お嬢さん。だからな」
「そんなんじゃないって判ってますよ。大丈夫です」
心配しなくても。
小林の言葉を先んじてそう答える明子に、大変よくできましたというように、小林はよしよしと頷いた。