リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
あの状況で、断れるはずないじゃないと、そう毒づきながら、もしも、これが他の男だったら、その誘いを固辞して、会社に駆け戻っていたかもしれないと思う自分もいた。
自分の意思で、この車に乗り込んだんだろうと嘯く島野に、反論できない自分が悔しかった。
「勝手なことばかりを言ってと、思っているだろう。それが男だよ。女の理屈と、男の理屈が同じだなんて、思うんじゃないよ。ましてや、自分の欲を満たすことしか考えてないような男に、その行動を身勝手だと詰っても、通じる訳がないだろう」
したり顔で、賢しく明子にそんなことを言ってのける島野に、明子は唇を噛みしめるしかなかった。
「牧野の車に乗るんだって? 小林さんが、そんなこと言ってたんだけど。そうなのかい?」
唐突に、そんなことを尋ねられ、明子は戸惑う。島野が明子からなにを聞き出そうとしているのか。それが判らなかった。
「もう。怖いことしないよ。ほら、ちゃんと座って」
まだ、体をドアにギリギリに寄せている明子に、島野は甘く優しい声で明子を呼び、微笑する。
その言葉を信じていいのかも、明子は判断することができずに、混乱と困惑がそのまま現れている瞳で、島野を見つめた。
島野も、明子のその警戒心を嗅ぎ取ったのか、無理強いしてまで明子を引き戻すようなことはせず、そのまま、会話を続けていく。
「もう、キスくらいはしたのかい?」
「え?」
「牧野と」
横目で明子を見つめるその顔には、人の悪い笑みがあった。
自分の意思で、この車に乗り込んだんだろうと嘯く島野に、反論できない自分が悔しかった。
「勝手なことばかりを言ってと、思っているだろう。それが男だよ。女の理屈と、男の理屈が同じだなんて、思うんじゃないよ。ましてや、自分の欲を満たすことしか考えてないような男に、その行動を身勝手だと詰っても、通じる訳がないだろう」
したり顔で、賢しく明子にそんなことを言ってのける島野に、明子は唇を噛みしめるしかなかった。
「牧野の車に乗るんだって? 小林さんが、そんなこと言ってたんだけど。そうなのかい?」
唐突に、そんなことを尋ねられ、明子は戸惑う。島野が明子からなにを聞き出そうとしているのか。それが判らなかった。
「もう。怖いことしないよ。ほら、ちゃんと座って」
まだ、体をドアにギリギリに寄せている明子に、島野は甘く優しい声で明子を呼び、微笑する。
その言葉を信じていいのかも、明子は判断することができずに、混乱と困惑がそのまま現れている瞳で、島野を見つめた。
島野も、明子のその警戒心を嗅ぎ取ったのか、無理強いしてまで明子を引き戻すようなことはせず、そのまま、会話を続けていく。
「もう、キスくらいはしたのかい?」
「え?」
「牧野と」
横目で明子を見つめるその顔には、人の悪い笑みがあった。