リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「なっ、なに言って」
「牧野の車、乗ってるんだろ? でも、その様子じゃ、まだだな」

声をひっくり返して島野に抗議する明子に、島野はやれやれと息を吐いた。

「あいつも、バカだな」

出来の悪い弟を窘めているような口振りで、島野はそんなことを呟いた。

「そんなこと。島野さんじゃないんですよっ」

ムキになって、島野に言い返す明子に、島野はふんと鼻を鳴らして明子をせせら笑った。

「だから、キミは、牧野の男の子の部分しか見てないって言うんだよ」

揶揄する島野に、明子は黙り込むしかなかった。
島野がなにをしたいのか。
島野がなにを言いたいのか。
明子には、それがまったく理解できなかった。

「牧野の車に、乗ることができる女性の条件、聞いてるんだろ?」
「牧野さんは……、そんなことないって」
「条件は?」
「……、家族か恋人」

訳が判りませんと、ふてくされている明子の声に、島野は肩を揺らす。

「残念でした。それは半分、不正解」

島野が笑いながら、明子にそんなことを言う。
眉間にきゅうと皺が寄っていく明子に、島野はさらに楽しそうな声で笑う。
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