リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
髪を乾かしてソファーに座ると、いつものようにテレビをつけた。
テーブルに貼り付けてあるチケットを見て、がくりと項垂れた。
(そうだったわ)
(行けなくなってしまったんだわ、これ)
(関ちゃん、ごめんね)
そんなことを、テレビの中の『文隆くん』に懺悔した。
それでも、蘇ってきた昼間の賑やかなやりとりに頬を緩ませ、しょうがないわねと、明子は微笑む。
(かわいい後輩の一世一代の晴れ姿)
(見てあげないとね)
一度だけ、写真で見せてもらった木村の彼女は、ショートヘアーの似合う健康的な可愛らしさをまとった女の子だった。
紋付き姿の木村と白無垢の彼女が並んだら、やんちゃなお内裏様と愛くるしいお雛様になるに違いない。
そんな姿を想像するだけで、楽しくなってくる。
そんなことを考えて、ようやく、明子の中に日常が戻り始めてきた。
決して、夢ではないけれど。
夢の中のできごとはないけれど。
でも、今夜のできごとは。
夢の中のできごとだったと。
そう思おうと、明子は自分に言い聞かせた。
そうしないと、ずっと。
あの甘い夢に囚われてしまいそうだった。
テーブルに貼り付けてあるチケットを見て、がくりと項垂れた。
(そうだったわ)
(行けなくなってしまったんだわ、これ)
(関ちゃん、ごめんね)
そんなことを、テレビの中の『文隆くん』に懺悔した。
それでも、蘇ってきた昼間の賑やかなやりとりに頬を緩ませ、しょうがないわねと、明子は微笑む。
(かわいい後輩の一世一代の晴れ姿)
(見てあげないとね)
一度だけ、写真で見せてもらった木村の彼女は、ショートヘアーの似合う健康的な可愛らしさをまとった女の子だった。
紋付き姿の木村と白無垢の彼女が並んだら、やんちゃなお内裏様と愛くるしいお雛様になるに違いない。
そんな姿を想像するだけで、楽しくなってくる。
そんなことを考えて、ようやく、明子の中に日常が戻り始めてきた。
決して、夢ではないけれど。
夢の中のできごとはないけれど。
でも、今夜のできごとは。
夢の中のできごとだったと。
そう思おうと、明子は自分に言い聞かせた。
そうしないと、ずっと。
あの甘い夢に囚われてしまいそうだった。