リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「なにか、あったのか?」
突然、奥の会議室から、小林がのっそりと姿を見せた。
「え!? 徹夜、ですか?」
おはようございますの挨拶より先に、そんな言葉が突いてでた。
思いがけない場所から、想像もしていなかった人物の、まさかまさかの登場に、明子は驚くしかなかった。
美咲はよほど驚いたのか、開きかけていた口をそのままに、ぽかんとした顔で小林を見ている。
確かに、明子が退社の挨拶をしたとき、小林も君島もまだ仕事をしていたけれど、そこまで切羽詰ったような仕事をしているようには見えなかった。
(言ってくれれば、よかったのに)
(というか、言ってほしかったかも)
(そしたら、あんな危険な人と鉢合わせなんて、なかったのに)
うっかりとまた、昨夜のことを思い出しそうになった明子は、八つ当たり的な恨み言を内心で呟きつつ「なにか、トラブルですか」と、明子は心配げに尋ねた。
小林は、髪を掻き乱しながら「カミナリ様が、大暴れだよ」とぼやいた。
「カミナリ様?」
「昨日、ドンガラガンってあっただろう」
そう言えば、島野の車の中で、遠くから聞こえる雷鳴があったような気がした。
島野の悪戯な手から逃れるのに必死で、気にも止めていなかったけれど。
けれど、確かに、遠い場所から鳴り響くその音を、聞いた気がした。
季節外れの雷鳴を。
突然、奥の会議室から、小林がのっそりと姿を見せた。
「え!? 徹夜、ですか?」
おはようございますの挨拶より先に、そんな言葉が突いてでた。
思いがけない場所から、想像もしていなかった人物の、まさかまさかの登場に、明子は驚くしかなかった。
美咲はよほど驚いたのか、開きかけていた口をそのままに、ぽかんとした顔で小林を見ている。
確かに、明子が退社の挨拶をしたとき、小林も君島もまだ仕事をしていたけれど、そこまで切羽詰ったような仕事をしているようには見えなかった。
(言ってくれれば、よかったのに)
(というか、言ってほしかったかも)
(そしたら、あんな危険な人と鉢合わせなんて、なかったのに)
うっかりとまた、昨夜のことを思い出しそうになった明子は、八つ当たり的な恨み言を内心で呟きつつ「なにか、トラブルですか」と、明子は心配げに尋ねた。
小林は、髪を掻き乱しながら「カミナリ様が、大暴れだよ」とぼやいた。
「カミナリ様?」
「昨日、ドンガラガンってあっただろう」
そう言えば、島野の車の中で、遠くから聞こえる雷鳴があったような気がした。
島野の悪戯な手から逃れるのに必死で、気にも止めていなかったけれど。
けれど、確かに、遠い場所から鳴り響くその音を、聞いた気がした。
季節外れの雷鳴を。