リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「なあ。でも、あれだ。ああ見えて、中身は牧野課長だぞ、千賀子さんも。怪獣だ、怪獣」
「ひどいっ あんなに素敵な方を、あんな食いしん坊の俺様と一緒にするなんてっ」
「そんなこと言ったって、君島課長もそう言ってるくらいだからな。ウチのは女版牧野だなって」
「いやん。あんな俺様な人が、この世に二人もいるなんて。ウソだー」
「ワガママもめちゃくちゃハンパないけど、世話焼き具合もめちゃくちゃハンパないって、君島課長がよく言ってるよ。まあ、君島課長の回りには、そういう輩が自然と集まるようになってるんだろ」
「なるほどー。それは納得なお言葉です」
「しっかし、あいつのとこ、結婚してそろそろ十年くらいになるのに、まだ新婚さんみたい感じだったな。ネクタイ、千賀子さんが締めてやっているんだぜ。朝から当てられっぱなしだよ」
「えーと。君島さんのそんな姿を想像するのは、ちょっとあれですけど。でも、いいじゃないですか。仲良しで。小林さんだって、人のこと、とやかくは言えないと思いますけど。お料理上手な奥さんだし。むきゅーって、ハグしたくなるくらいかわいいし」
一回り年下の愛しい愛しい恋女房を明子にそう言われ、小林の顔が崩れた。
えへへと、眦を下げた締まりのないだらしない顔をして、小林は明子の言葉を否定することもなく、まあなと言って胸を張った。
のろけですらてらいのない小林に、明子も笑うしかなかった。
「でも、ウチは朝はパンでさ。子どもらがパンが好きでさ」
「楽しそうな食卓ですね」
「ははは。賑やかだぞー。一番下が、最近、小生意気にも、かみさんと一緒にお菓子を作ったりしてな。朝からクッキーとか食わされるときとかあるよ。昨日作ったのとかなんとか言って、パパ食べてなんて言いながら、口に押し込んできてさ」
「かわいいなあ」
「へへへ。羨ましいか」
照れも見せずにそう言ってのける小林に「はい、はい、ごちそうさまです」と答えながら、明子は内心でそんな生活をいいなあと羨み続けた。
自分にも、そんな未来はくるのかなと、牧野の顔を思い浮かべながら、そんな期待と不安を胸に抱いた。
「ひどいっ あんなに素敵な方を、あんな食いしん坊の俺様と一緒にするなんてっ」
「そんなこと言ったって、君島課長もそう言ってるくらいだからな。ウチのは女版牧野だなって」
「いやん。あんな俺様な人が、この世に二人もいるなんて。ウソだー」
「ワガママもめちゃくちゃハンパないけど、世話焼き具合もめちゃくちゃハンパないって、君島課長がよく言ってるよ。まあ、君島課長の回りには、そういう輩が自然と集まるようになってるんだろ」
「なるほどー。それは納得なお言葉です」
「しっかし、あいつのとこ、結婚してそろそろ十年くらいになるのに、まだ新婚さんみたい感じだったな。ネクタイ、千賀子さんが締めてやっているんだぜ。朝から当てられっぱなしだよ」
「えーと。君島さんのそんな姿を想像するのは、ちょっとあれですけど。でも、いいじゃないですか。仲良しで。小林さんだって、人のこと、とやかくは言えないと思いますけど。お料理上手な奥さんだし。むきゅーって、ハグしたくなるくらいかわいいし」
一回り年下の愛しい愛しい恋女房を明子にそう言われ、小林の顔が崩れた。
えへへと、眦を下げた締まりのないだらしない顔をして、小林は明子の言葉を否定することもなく、まあなと言って胸を張った。
のろけですらてらいのない小林に、明子も笑うしかなかった。
「でも、ウチは朝はパンでさ。子どもらがパンが好きでさ」
「楽しそうな食卓ですね」
「ははは。賑やかだぞー。一番下が、最近、小生意気にも、かみさんと一緒にお菓子を作ったりしてな。朝からクッキーとか食わされるときとかあるよ。昨日作ったのとかなんとか言って、パパ食べてなんて言いながら、口に押し込んできてさ」
「かわいいなあ」
「へへへ。羨ましいか」
照れも見せずにそう言ってのける小林に「はい、はい、ごちそうさまです」と答えながら、明子は内心でそんな生活をいいなあと羨み続けた。
自分にも、そんな未来はくるのかなと、牧野の顔を思い浮かべながら、そんな期待と不安を胸に抱いた。