リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「牧野課長は、着替えてくるって言って、五時ごろに一旦帰って、さっき出てきた」
唐突に出てきた牧野の名にどきりとしながら「そうなんですか」と、努めて平静を保って明子は言葉を返した。
「今日は、客先でガチンコだろ」
「あー。昨日は、試合放棄されちゃいましたからね」
「なあ。ふざけた連中だよな。だから、くたびれた格好で行きたくないんだとさ」
「牧野さん、まずは形から入りますからねえ」
かましてやると決めたときは、隙のない戦闘服に身を包む。
木村曰くの『超スペシャル戦闘服』だ。
(なるほどね。今日も最強仕様なのね)
本人いわく「半端な格好だと、顔だ顔だから、ナメられる」ということらしい。
実年齢よりも若く見える顔立ちが、仕事の場では仇になることも、牧野には少なくないらしい。
贅沢を言いやがってと、小林などはよくそう言って、その頬を抓りあげている。
「で。なに朝から騒いでいるんだ、このお嬢様は?」
明子と小林が昨夜のことを話している間も、明子を睨みつけて怒りの形相を崩さない美咲を見て、小林もげんなりとした顔で、明子にそう尋ねた。
「えーとですね……」
「勝手に、牧野さんの机の上のものを動かしてるから、注意してるのよ」
なにか文句ありますか?
明子が状況説明するより先にそう言って小林を見る美咲に、小林は疲れたような笑い声をあげた。
「なにを言い出すかと思えば」
「だって。私が掃除したとき、そう言ったんですっ 勝手に動かされると困るって」
「そりゃあ、お嬢様だからだろ」
小林のその言い様に、美咲が目を剥いた。
唐突に出てきた牧野の名にどきりとしながら「そうなんですか」と、努めて平静を保って明子は言葉を返した。
「今日は、客先でガチンコだろ」
「あー。昨日は、試合放棄されちゃいましたからね」
「なあ。ふざけた連中だよな。だから、くたびれた格好で行きたくないんだとさ」
「牧野さん、まずは形から入りますからねえ」
かましてやると決めたときは、隙のない戦闘服に身を包む。
木村曰くの『超スペシャル戦闘服』だ。
(なるほどね。今日も最強仕様なのね)
本人いわく「半端な格好だと、顔だ顔だから、ナメられる」ということらしい。
実年齢よりも若く見える顔立ちが、仕事の場では仇になることも、牧野には少なくないらしい。
贅沢を言いやがってと、小林などはよくそう言って、その頬を抓りあげている。
「で。なに朝から騒いでいるんだ、このお嬢様は?」
明子と小林が昨夜のことを話している間も、明子を睨みつけて怒りの形相を崩さない美咲を見て、小林もげんなりとした顔で、明子にそう尋ねた。
「えーとですね……」
「勝手に、牧野さんの机の上のものを動かしてるから、注意してるのよ」
なにか文句ありますか?
明子が状況説明するより先にそう言って小林を見る美咲に、小林は疲れたような笑い声をあげた。
「なにを言い出すかと思えば」
「だって。私が掃除したとき、そう言ったんですっ 勝手に動かされると困るって」
「そりゃあ、お嬢様だからだろ」
小林のその言い様に、美咲が目を剥いた。