リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
いつもより早い出社だったにも関わらず、気づけばいつもより遅い時刻まで、明子は朝の掃除をしていた。
その結果、明子にとってはいつもとは違うペースの朝になった。
給湯室に入ると、普段、朝の給湯室ではあまり顔を会わせることのない女子社員たちが、顔をつき合わせて、何事かをひそひそと喋っていた。
けれど、明子が挨拶の声を掛けると、彼女たちは慌てたように口を噤んで、挨拶もそこそこにパラパラと逃げ出すように出て行ってしまった。
それが妙に気になりつつも、明子はコーヒーを淹れて第二システム部に戻った。
始業十分前ということもあり、足を踏み入れた室内は、人の声と煩雑な物音で溢れていた。
なんとなく、足を止めて、明子は室内の様子を見回した。
今日は午前中から出かけると言っていた牧野が、小林と話をしながら、その準備をしていた。その様子を見る限り、仕事の話し半分、遊びの話し半分といった感じの顔だった。
すでに出かける用意を終えている君島は、席に着いている野木の傍らに立ちに、談笑しながら安藤と原田を待っているようだった。
ときおり、沼田も楽しそうに笑っているのが見えた。
自宅が客先に近いという森口は、午前中から客先に行くときは直出なのだと聞いている。
おそらく今日も、先に入っているのだろう。
吉田と坂下と新藤の姿はなかった。
吉田の姿も、昨日の午後から見ていなかった。
聞きかじった話では、どうやら林田に呼び出されたらしい。二人でなにを話しているのか、その内容までは伝わってこなかった。今朝も姿がないところを見ると、林田のもとにいるのかもしれない。
美咲たちの三人の姿も、やはりなかった。
せめて今日くらいは、時間になったら席に着いていてほしいと、ため息混じりに考えていたら、突然、ドンと、後ろから誰かが明子にぶつかって来た。
思わず、数歩前につんのめるように足を踏み出し、カップから僅かに溢れたコーヒーが手元にかかった。
その結果、明子にとってはいつもとは違うペースの朝になった。
給湯室に入ると、普段、朝の給湯室ではあまり顔を会わせることのない女子社員たちが、顔をつき合わせて、何事かをひそひそと喋っていた。
けれど、明子が挨拶の声を掛けると、彼女たちは慌てたように口を噤んで、挨拶もそこそこにパラパラと逃げ出すように出て行ってしまった。
それが妙に気になりつつも、明子はコーヒーを淹れて第二システム部に戻った。
始業十分前ということもあり、足を踏み入れた室内は、人の声と煩雑な物音で溢れていた。
なんとなく、足を止めて、明子は室内の様子を見回した。
今日は午前中から出かけると言っていた牧野が、小林と話をしながら、その準備をしていた。その様子を見る限り、仕事の話し半分、遊びの話し半分といった感じの顔だった。
すでに出かける用意を終えている君島は、席に着いている野木の傍らに立ちに、談笑しながら安藤と原田を待っているようだった。
ときおり、沼田も楽しそうに笑っているのが見えた。
自宅が客先に近いという森口は、午前中から客先に行くときは直出なのだと聞いている。
おそらく今日も、先に入っているのだろう。
吉田と坂下と新藤の姿はなかった。
吉田の姿も、昨日の午後から見ていなかった。
聞きかじった話では、どうやら林田に呼び出されたらしい。二人でなにを話しているのか、その内容までは伝わってこなかった。今朝も姿がないところを見ると、林田のもとにいるのかもしれない。
美咲たちの三人の姿も、やはりなかった。
せめて今日くらいは、時間になったら席に着いていてほしいと、ため息混じりに考えていたら、突然、ドンと、後ろから誰かが明子にぶつかって来た。
思わず、数歩前につんのめるように足を踏み出し、カップから僅かに溢れたコーヒーが手元にかかった。