リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「熱っ」
「入り口で、ぼさっと突っ立てるなよっ」
明子の小さな悲鳴を掻き消すように、明子にぶつかってきた安藤が、そんな罵声を明子に浴びせた。
その声に、室内が静まった。
安藤はかなりの勢いをつけて歩いてきたのか、
その衝撃をもろに受けた肩が、微妙に痛んだ。
明子が立っていた場所は、入り口からは離れている。そのうえ、安藤の席に向かう通路上でもなかった。
言いがかりとしか思えない、安藤のその言葉には理不尽さは覚えたが、それでも明子は反論の言葉を飲み込んだ。
「ああ。ごめんなさいね」
牧野と小林が気色ばむ様子を見て、明子は先にそう言って、安藤から離れた。
(朝から、この一派について関わって、これ以上の面倒ごとに巻き込まれるのは。ごめんだわ)
それが偽りのない率直な感想だ。
だから、明子はそそくそと席に戻った。
「安藤。そろそろ出るぞ。用意はできてるな?」
明らかに怒気を孕んだ君島の声に、ちらりと安藤を眺めると、安藤はその頬をを引き攣らせていた。
今、用意しますと言いながら、あたふたと荷物をまとめ始めている。
「昨日のうちに、しておかなかったか。なにしてんだよ」
野木のその叱責に、安藤はさらに顔を強張らせていた。
「大丈夫ですか?」
明子に代わって、床に零したコーヒーをティッシュで拭き取ってくれていた渡辺が、明子の手元を見ながら心配そうな顔をする。
「うん。大丈夫。ありがとね」
「主任。これ、冷たいですよ。ほら」
木村が自販機で買ってきたらしい缶ジュースを、えいっと明子の手に押し付けた。
「入り口で、ぼさっと突っ立てるなよっ」
明子の小さな悲鳴を掻き消すように、明子にぶつかってきた安藤が、そんな罵声を明子に浴びせた。
その声に、室内が静まった。
安藤はかなりの勢いをつけて歩いてきたのか、
その衝撃をもろに受けた肩が、微妙に痛んだ。
明子が立っていた場所は、入り口からは離れている。そのうえ、安藤の席に向かう通路上でもなかった。
言いがかりとしか思えない、安藤のその言葉には理不尽さは覚えたが、それでも明子は反論の言葉を飲み込んだ。
「ああ。ごめんなさいね」
牧野と小林が気色ばむ様子を見て、明子は先にそう言って、安藤から離れた。
(朝から、この一派について関わって、これ以上の面倒ごとに巻き込まれるのは。ごめんだわ)
それが偽りのない率直な感想だ。
だから、明子はそそくそと席に戻った。
「安藤。そろそろ出るぞ。用意はできてるな?」
明らかに怒気を孕んだ君島の声に、ちらりと安藤を眺めると、安藤はその頬をを引き攣らせていた。
今、用意しますと言いながら、あたふたと荷物をまとめ始めている。
「昨日のうちに、しておかなかったか。なにしてんだよ」
野木のその叱責に、安藤はさらに顔を強張らせていた。
「大丈夫ですか?」
明子に代わって、床に零したコーヒーをティッシュで拭き取ってくれていた渡辺が、明子の手元を見ながら心配そうな顔をする。
「うん。大丈夫。ありがとね」
「主任。これ、冷たいですよ。ほら」
木村が自販機で買ってきたらしい缶ジュースを、えいっと明子の手に押し付けた。