リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「冷たっ」
やめてーと言いながら、缶ジュースから逃げようとする明子の手を、木村の手にある缶ジュースで追いかけてた。
「冷やさなきゃダメですよー」
「いりませーん いやー」
「ホントに。朝から元気でうるせえな、お前らは」
のそりと席に着いた小林が、やれやれというように、笑いながら二人を眺めていた。
川田や岡島たちも、その漫才のようなやり取りに、笑っている。
「小杉主任」
牧野の声が掛かり、明子は「はい」と答えると同時に手帳を片手に席を立った。
牧野が明子のことを主任と呼ぶときは、確実に仕事の話だ。
このうえ、まだ仕事を増やす気なのかと、内心うんざりしながら、牧野の机の脇に立った。
「今日、赤木さんのとこに行くんだろ」
「はい。午前中、行ってきます」
「なんかな。営業の伊東(いとう)さんから、さっき連絡がきてな。先週、マシンの保守に行ったら、プレビュー画面と印刷した帳票の出力順が、一致しないときがあると言われたって言うんだ」
「なんの帳票ですか?」
「事業参加者一覧らしい。ただ、伊東さんが立ち会って、一緒に現象確認しても、その現象、出てこなかったそうなんだ」
「それって、最悪パターンじゃないですか」
ひょっとしたら、出ない現象かもしれないですよね?
げんなりとした顔で肩を落とす明子に、まあなと、牧野も顔を顰めて頭を描いた。
「ただ、赤木さんじゃなくてな、長谷部(はせべ)さんなんだよ、言っているのが。あの人が勘違いするっていうのもなあ、そうあると思えないしなあ」
出されたその名前を聞いて、明子もそうですねえと牧野の意見に同意した。
これから向かうあの客先ではパソコンに一番詳しく、仕事の依頼の大半はその長谷部信一(はせべ しんいち)から出てくる。
今日の打ち合わせも、長谷部とすることになっていた。
やめてーと言いながら、缶ジュースから逃げようとする明子の手を、木村の手にある缶ジュースで追いかけてた。
「冷やさなきゃダメですよー」
「いりませーん いやー」
「ホントに。朝から元気でうるせえな、お前らは」
のそりと席に着いた小林が、やれやれというように、笑いながら二人を眺めていた。
川田や岡島たちも、その漫才のようなやり取りに、笑っている。
「小杉主任」
牧野の声が掛かり、明子は「はい」と答えると同時に手帳を片手に席を立った。
牧野が明子のことを主任と呼ぶときは、確実に仕事の話だ。
このうえ、まだ仕事を増やす気なのかと、内心うんざりしながら、牧野の机の脇に立った。
「今日、赤木さんのとこに行くんだろ」
「はい。午前中、行ってきます」
「なんかな。営業の伊東(いとう)さんから、さっき連絡がきてな。先週、マシンの保守に行ったら、プレビュー画面と印刷した帳票の出力順が、一致しないときがあると言われたって言うんだ」
「なんの帳票ですか?」
「事業参加者一覧らしい。ただ、伊東さんが立ち会って、一緒に現象確認しても、その現象、出てこなかったそうなんだ」
「それって、最悪パターンじゃないですか」
ひょっとしたら、出ない現象かもしれないですよね?
げんなりとした顔で肩を落とす明子に、まあなと、牧野も顔を顰めて頭を描いた。
「ただ、赤木さんじゃなくてな、長谷部(はせべ)さんなんだよ、言っているのが。あの人が勘違いするっていうのもなあ、そうあると思えないしなあ」
出されたその名前を聞いて、明子もそうですねえと牧野の意見に同意した。
これから向かうあの客先ではパソコンに一番詳しく、仕事の依頼の大半はその長谷部信一(はせべ しんいち)から出てくる。
今日の打ち合わせも、長谷部とすることになっていた。