リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
そんな彼女たちに、もう、なにかを言い諭す気力すらなくなり、明子はただただ呆れて、彼女たちを見ているしかなかった。
(ダメだ)
(多分、どこまで行ってもこの子たちとは、平行線な気がする)
(どうやっても、理解できないわ、この子たちのこと)
(どうしよう)
幸恵は泣き続けているだけで、ロッカールームを出ようとはしない。
このまま放置していくわけにもいかないと思いつつ、いつまでも君島を待たせるわけにもいかないと、明子は悩んだ。
どうしたらいいものかと、耳の裏を引っかいて考えていると「小杉さん、もう、いいそうよ」と、そんな声が背後からかかった。
振り返ると、第一システム部の園田恵美(そのだ えみ)がそこにいた。
恵美は明子より、二つばかり年上の先輩になる。
役職にはついていない。
二十代で結婚し、まだ未就学の年齢の子どもがいるため、休みを取ることも多く、残業や休日出勤もなかなかできないらしい。
そのことで嫌な思いをすることも少なからずあるのだと、明子に告げたことがあった。
‐そりゃね。そのせいで、余計な仕事を増やされたほうは堪らないだろうけど。
‐あんがいね、男の人よりも、女の子たちのほうが、きついかことを言うのよね。
‐二人目ができたら、仕事は辞めるようかなあ。
肩をすくめながら、会社帰りにそんなことを明子に淡々と語り聞かせた。
その恵美が、二進も三進もいかない状況で頭を抱えている明子を同情するように見つめ、笑っていた。
「牧野課長から、伝言」
ひときわ、はっきりとした口調で告げられた牧野の名前に、美咲の泣き声が一瞬止まった。
自分に対する優しい言葉を期待したのか。
真っ赤に泣きはらした目を、美咲は恵美に向けた。
けれど、恵美が見ているのは、明子だけだった。
(ダメだ)
(多分、どこまで行ってもこの子たちとは、平行線な気がする)
(どうやっても、理解できないわ、この子たちのこと)
(どうしよう)
幸恵は泣き続けているだけで、ロッカールームを出ようとはしない。
このまま放置していくわけにもいかないと思いつつ、いつまでも君島を待たせるわけにもいかないと、明子は悩んだ。
どうしたらいいものかと、耳の裏を引っかいて考えていると「小杉さん、もう、いいそうよ」と、そんな声が背後からかかった。
振り返ると、第一システム部の園田恵美(そのだ えみ)がそこにいた。
恵美は明子より、二つばかり年上の先輩になる。
役職にはついていない。
二十代で結婚し、まだ未就学の年齢の子どもがいるため、休みを取ることも多く、残業や休日出勤もなかなかできないらしい。
そのことで嫌な思いをすることも少なからずあるのだと、明子に告げたことがあった。
‐そりゃね。そのせいで、余計な仕事を増やされたほうは堪らないだろうけど。
‐あんがいね、男の人よりも、女の子たちのほうが、きついかことを言うのよね。
‐二人目ができたら、仕事は辞めるようかなあ。
肩をすくめながら、会社帰りにそんなことを明子に淡々と語り聞かせた。
その恵美が、二進も三進もいかない状況で頭を抱えている明子を同情するように見つめ、笑っていた。
「牧野課長から、伝言」
ひときわ、はっきりとした口調で告げられた牧野の名前に、美咲の泣き声が一瞬止まった。
自分に対する優しい言葉を期待したのか。
真っ赤に泣きはらした目を、美咲は恵美に向けた。
けれど、恵美が見ているのは、明子だけだった。