リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「眼科の先生がダメだった理由って、なんですか?」

珍しく岡島まで興味津々という顔で、話しに加わって、話をまた明子の見合い話に戻した。
明子はその質問に、思い出すのもイヤと言いたげに顔をしかめた。

「好き嫌いがね、すっごい、多い人だったの。食事をしましょうって、イタリアンのレストランに入ったのはいいけど、あれは嫌い、これも嫌いって。それだけでもうんざりだったのに、嫌いなものは見るのも嫌だから、私にも頼むなって」
「ひでえ」

そりゃ、ダメだ。
どんだけ王様だよと、川田がぽかんと口を開けて呆れ果てていた。

「ホントにねえ。この人とはどれだけ美味しいご飯でも、楽しく食べられないわって思ったら、もう、その日のうちに断っちゃったわ」
「なあ。毎月、見合いの話を持ってくるって言ってたけど、他にも見合いの予定なんてあったりするのか?」

なにかを警戒しているような口振りの小林に、明子はまさかと笑った。

「最近は母の電話は、全部、留守電にして出ないようにしてるんです。面倒で。二回の見合いだって、騙されて呼び出されたような感じですもの。する気だってなかった」
「そんなにお見合いの話があるなら、さっさと結婚すればいいじゃないっ」

なに、もったいぶってるのよっ
ずっと明子を怒りの目で睨みつけていた美咲が、明子を詰り始めた。

「婚約を破談にされたそんなみっともない人と、それでも、お見合いしてくれるって言ってくれてるんでしょっ それだけでもありがたいと思って、さっさと決めればいいじゃないっ あなたなんて、相手を選べるようなそんな立場じゃないでしょっ」

さすがの明子も、耳に突き刺さるその金切り声と、胸に突き刺さるその辛辣な言葉に、顔も体も強張っていった。
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