リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「だって。小杉さんが教えてくれないから、仕事がなにもできないんです」
野木のその説得に、美咲たちの後を追うことは諦めた幸恵は、仕方なさそうに自分の席に着いたが、仕事が進まないのは自分のせいではないと言うように、甘え混じりの声で野木にそう訴え始めた。
「判らないから、教えてくださいって、何度も頼んでいるのに。バカみたいに考えなさいって言うだけで、なにも教えてくれないんですよ。小杉さん、ひどいです」
最後のころは涙混じりの声で、小杉をひどいひどいと詰り続ける幸恵に、ちらりと目を向けた沼田はふぅっと息を吐いた。
「そんなこと、ないと思うけど」
明子を擁護するような沼田に、幸恵は悔しそうに顔を歪めた。
「小杉さんは、ちゃんと教えてくれているだろ。ここで聞いていたって、丁寧に教えてくれていることは判るよ。それでも判らないって言うのは、原田のやる気がないだけだよ」
沼田の静かだけれど、少し怒気を孕んでいるような声に、幸恵は次第に悲しそうに顔を曇らせ、そのまま俯いてしまう。
「なんで、小杉さんの味方ばかりするんですか? あんな人のことばっかり……」
啜り泣き混じりの小さな声でそう呟くと、幸恵は両手で顔を覆い隠した。
やれやれと、ため息とともに肩を竦めた野木は、肩越しに幸恵の様子を伺っている明子に顔を向けると、放っておきましょうというように小さく頷いた。
野木のその説得に、美咲たちの後を追うことは諦めた幸恵は、仕方なさそうに自分の席に着いたが、仕事が進まないのは自分のせいではないと言うように、甘え混じりの声で野木にそう訴え始めた。
「判らないから、教えてくださいって、何度も頼んでいるのに。バカみたいに考えなさいって言うだけで、なにも教えてくれないんですよ。小杉さん、ひどいです」
最後のころは涙混じりの声で、小杉をひどいひどいと詰り続ける幸恵に、ちらりと目を向けた沼田はふぅっと息を吐いた。
「そんなこと、ないと思うけど」
明子を擁護するような沼田に、幸恵は悔しそうに顔を歪めた。
「小杉さんは、ちゃんと教えてくれているだろ。ここで聞いていたって、丁寧に教えてくれていることは判るよ。それでも判らないって言うのは、原田のやる気がないだけだよ」
沼田の静かだけれど、少し怒気を孕んでいるような声に、幸恵は次第に悲しそうに顔を曇らせ、そのまま俯いてしまう。
「なんで、小杉さんの味方ばかりするんですか? あんな人のことばっかり……」
啜り泣き混じりの小さな声でそう呟くと、幸恵は両手で顔を覆い隠した。
やれやれと、ため息とともに肩を竦めた野木は、肩越しに幸恵の様子を伺っている明子に顔を向けると、放っておきましょうというように小さく頷いた。