リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「気持ちって……」
「気持ちは気持ちだよ。ぜんぶ、言わせるなよ。判るだろ?」
茶化しているわけでもなく、至極真面目な声で告げられたその言葉に、明子は困惑するしかなかった。
もしも、そうだったらいいと、そう思ってはいたけれど。
島野にも、遠回しにそんなことを聞かされてはいたけれど。
肝心の牧野から、その胸の内にあるものを何ひとつ、聞かされていない。
それをこんなふうに告げられても、どうすればいいのか判らなかった。
「そんなこと……」
ゆらゆらと思い惑っているように瞳を揺るがせている明子に、小林はゆっくりとした口調で語り聞かせる。
「多分な。アレのことだから、判りやすい伝え方はしてねえと思うよ。思うんだけどな、あいつは、そんなことはないって言うんだ。判りやすく伝えたって。そう言うんだよ。まだ、お前のほうは、気付いていないかもしれないけど、でも、ちゃんと伝えたって」
小林の言葉を聞きながら、日曜日のことを明子は思い返した。
あの言葉は、やはり牧野にとってはそういう意味を込めて告げてくれた言葉だったのだと、そう思っていいのだろうかと、瞳が潤み揺らぐ。
「なんか、思い当たることが、あったか?」
明子の顔色に、小林は笑った。
「……判りやすくなんて、ないです。ぜんぜん。判りやすく、ないです」
やや拗ねたような明子の声に、小林は肩を竦めて笑った。
「まあな。あいつの言う、判りやすいのレベルは、俺にも理解はできねえ。でも、伝えたと言い切ったんだ、あいつは。あとは、お前からの返事待ちだと。なのにだ。待ち続けているときに、島野となにかあったような気配があって、それで大嫌いと言われて、挙句、あんな見合いの話しなんて聞かされたんだぞ」
「それは」
「悪気はなかったのは判るよ。多分、伝わってなくて、あいつが待っていることにも気づいてねえなって思ったから、だから、手遅れにならないように、今、こうして教えてんだよ。おせっかいにもな。一応、見合いの件はフォローのメールを入れておいたけどな。島野の件は、俺もフォローしきれねえ。自分で説明しろ」
「説明って」
「メール。どこで交換した?」
「……、会社ですよ」
明子の一瞬の戸惑いを、小林は見逃さなかった。
「気持ちは気持ちだよ。ぜんぶ、言わせるなよ。判るだろ?」
茶化しているわけでもなく、至極真面目な声で告げられたその言葉に、明子は困惑するしかなかった。
もしも、そうだったらいいと、そう思ってはいたけれど。
島野にも、遠回しにそんなことを聞かされてはいたけれど。
肝心の牧野から、その胸の内にあるものを何ひとつ、聞かされていない。
それをこんなふうに告げられても、どうすればいいのか判らなかった。
「そんなこと……」
ゆらゆらと思い惑っているように瞳を揺るがせている明子に、小林はゆっくりとした口調で語り聞かせる。
「多分な。アレのことだから、判りやすい伝え方はしてねえと思うよ。思うんだけどな、あいつは、そんなことはないって言うんだ。判りやすく伝えたって。そう言うんだよ。まだ、お前のほうは、気付いていないかもしれないけど、でも、ちゃんと伝えたって」
小林の言葉を聞きながら、日曜日のことを明子は思い返した。
あの言葉は、やはり牧野にとってはそういう意味を込めて告げてくれた言葉だったのだと、そう思っていいのだろうかと、瞳が潤み揺らぐ。
「なんか、思い当たることが、あったか?」
明子の顔色に、小林は笑った。
「……判りやすくなんて、ないです。ぜんぜん。判りやすく、ないです」
やや拗ねたような明子の声に、小林は肩を竦めて笑った。
「まあな。あいつの言う、判りやすいのレベルは、俺にも理解はできねえ。でも、伝えたと言い切ったんだ、あいつは。あとは、お前からの返事待ちだと。なのにだ。待ち続けているときに、島野となにかあったような気配があって、それで大嫌いと言われて、挙句、あんな見合いの話しなんて聞かされたんだぞ」
「それは」
「悪気はなかったのは判るよ。多分、伝わってなくて、あいつが待っていることにも気づいてねえなって思ったから、だから、手遅れにならないように、今、こうして教えてんだよ。おせっかいにもな。一応、見合いの件はフォローのメールを入れておいたけどな。島野の件は、俺もフォローしきれねえ。自分で説明しろ」
「説明って」
「メール。どこで交換した?」
「……、会社ですよ」
明子の一瞬の戸惑いを、小林は見逃さなかった。