リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「ここにいたのか」
会議室のドアが開き、笹原が顔を覗かせた。
「お疲れ様です」
声を揃えての小林と明子の言葉に、笹原は笑いながら中に入ってきた。
「牧野は戻るが遅くなる。なんかあるか?」
あるなら電話を入れてやれと続いた笹原の言葉に、小林が「とくにはありませんか。なにかあったんですか?」と眉を顰めた。
「移行がな。うまくいかんデータがあるらしい。残って一緒に調べていくというんでな」
「課長。徹夜しているのに」
その体調を心配する明子に「あれは頑丈だから、ちょっとやそっとでは倒れんよ」と言った笹原は、明子の不安を和らげてやろうと言うようにそれを笑い飛ばした。
「でも、今日はぼんやりしていることが、多かったかもしれんな、あいつ」
笹原の言葉に、明子の胸がドクンと波打った。
笹原の目がそんな明子を見て、悪戯っぽく笑っていた。小林も「あー。でしょうねえ」と、苦笑しながら同意する。
「アレで、あんがい、誰かさんのことになると、小心者な部分があるからな」
デカい図体してるわりにな。
何もかもお見通しだと言うように、わははと豪快に笑う笹原に、明子は背中を丸めるようにして、体を小さくした。
小林が人差し指の先で、明子の頭を小突いた。
「で。ここで、なんの密談だ?」
「問題児対策だの、説教だの。まあ、あれこれと」
「なんだ、小杉。まだ新人のころみたいに説教されてるのか?」
「はい。バカめと怒られてました」
そう言って、しゅんとへこんだような表情を作る明子に「部長の前でだけ、そんなしおらしい顔をしてんじゃねえぞ」と小林は喚き、また明子をコツンと小突いた。
会議室のドアが開き、笹原が顔を覗かせた。
「お疲れ様です」
声を揃えての小林と明子の言葉に、笹原は笑いながら中に入ってきた。
「牧野は戻るが遅くなる。なんかあるか?」
あるなら電話を入れてやれと続いた笹原の言葉に、小林が「とくにはありませんか。なにかあったんですか?」と眉を顰めた。
「移行がな。うまくいかんデータがあるらしい。残って一緒に調べていくというんでな」
「課長。徹夜しているのに」
その体調を心配する明子に「あれは頑丈だから、ちょっとやそっとでは倒れんよ」と言った笹原は、明子の不安を和らげてやろうと言うようにそれを笑い飛ばした。
「でも、今日はぼんやりしていることが、多かったかもしれんな、あいつ」
笹原の言葉に、明子の胸がドクンと波打った。
笹原の目がそんな明子を見て、悪戯っぽく笑っていた。小林も「あー。でしょうねえ」と、苦笑しながら同意する。
「アレで、あんがい、誰かさんのことになると、小心者な部分があるからな」
デカい図体してるわりにな。
何もかもお見通しだと言うように、わははと豪快に笑う笹原に、明子は背中を丸めるようにして、体を小さくした。
小林が人差し指の先で、明子の頭を小突いた。
「で。ここで、なんの密談だ?」
「問題児対策だの、説教だの。まあ、あれこれと」
「なんだ、小杉。まだ新人のころみたいに説教されてるのか?」
「はい。バカめと怒られてました」
そう言って、しゅんとへこんだような表情を作る明子に「部長の前でだけ、そんなしおらしい顔をしてんじゃねえぞ」と小林は喚き、また明子をコツンと小突いた。