リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「その日は、食事に行くだけ?」
「雑貨屋さんって言うんですか? 古い道具とか食器とか、手作りの小物とか、そういうものが置いてある店。そういうところを見て歩きたいみたいなんで、僕も一緒に見て歩こうかなって」
「一階が和雑貨を扱うお店になってるカフェとか、アンティークの小物を扱う雑貨屋さんが同じ敷地の中にあるカフェとかなら、何軒か知ってるけど。彼女さん、知ってるかなあ」

どうだろうと首を傾げる明子に、沼田は目を輝かせた。

「教えてもらえますか?」
「お店のフライヤー、あったと思うから思うから、持ってくるわ」

了解の言葉に続けてそう答えた明子に、沼田は嬉しそうにありがとうございますとぺこりと頭を下げる。

「小杉主任に、こんな相談をするのも、どうかなって思ったんですけど。他の女子じゃ、こんな話しはできないし。森口さんも、しばらく会わないし」

沼田の困り果てている顔に、明子も「そうね」と同意するしかなかった。
幸恵たちには、到底、できない相談だと、明子もその言葉に肯首するしかなかった。

「彼女がいるって、はっきり言っちゃったら?」
「まだ、彼女って言える関係じゃないし、それに……」

敢えて゜誰に゜の部分は伏せての明子の言葉に、沼田はそう答えて言葉を切ると、やや重いため息を吐いた。

「江藤と野々村。去年は、野木主任にまとわりついていたんです」
「そうなの?」

うわ。それは災難。
明子は心底、野木に同情した。

「野木主任、ホントに迷惑がっていて、はっきり言ったんですよ、彼女がいるからって。野々村は怒って、八つ当たりみたいなことをいろいろして、江藤はそれでもあきらめられなくて、しばらくまとわりついていて。彼女のこと、根ほり葉ほり聞き出そうとしたり、後を付けたりみたいなこともしたりして、あの野木主任でさえ、かなりまいっちゃってたんです。あれを見てるから、なんか、どう対処していいか判らなくて」
「そんなことがあったの」

初めて聞く話に、明子は目を丸くした。野木も紀子も、あの一派には随分と悩まされていたのだと知り、重いため息が吐いて出た。
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