リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
島野の言葉で、初めて、牧野に抱かれることを明子は考えた。
淡い憧れだけではなく、生々しい欲望をはらんだ熱が明子の中に、芽生えた。
幼いだけの恋心を抱いていただけの自分には、もう戻れなかった。
自分の中に、あんなにも牧野を欲しがっている女の欲があることを、明子は初めて知った。
どろりと渦巻く体を火照らす暑い熱を、昨夜はしばらく持て余していた。
あんなことを仕掛けてきた島野には、バカバカと八つ当たり的に、あの背中でもボカポカと殴ってやりたい気持ちはあるが、だからと言って島野と牧野を仲違いなどさせたくはなかった。
そんな気持ちにはなれなかった。
どうしようかと数秒迷い、明子は思い切って、島野宛てのメールを打ち始めた。


-牧野のことで、相談したいことあったらメールして。
-小林さんや君島さんは、牧野贔屓にところがあるからね。
-今までも、肝心なこと、なかなか終えてくれないときもあっただろう。
-牧野に黙っててくれって言われると、ホントに黙っちゃうからね。


メールアドレスを交換し合いながら、島野はそういって笑っていた。
明子からのメールに、島野がどんな反応を返してくるか、それは不安ではあったけれど、そう言って明子の相談相手になるよと言ってくれた島野に、なにも告げずに牧野に全てを打ち明けてしまうのはずるいと、そう思う自分がいた。

恐る恐る、明子はメールを送った。
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