リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「まだいたのか、お前」
突然、そんな声がして、明子は驚きに肩を大きく跳ね上げて、入り口を見た。
疲れた顔で戻ってきた牧野は、そこにあった明子の姿に驚いていたようだった。
まだ僅かに残っていた涙を気づかれないようにと、明子は慌てて正面に向き直り指先で拭った。
「お疲れ様です」
にこやかな笑みを作り、牧野にそう声をかける。
「急ぎの仕事でも入ったのか」
「いえ。そういうわけじゃ。明日のこととかいろいろ考えてたら、こんな時間で」
「明日のこと?」
なんだという顔の牧野に、原田さんに出す仕事のこととかですよと、明子は言葉を付け足して説明した。
その言葉に、牧野は興味なさげにふうんと鼻を鳴らすように返事をしながら、明子の手元にある携帯電話に目を向けた。
「島野さんからか?」
「え?」
「メール」
牧野の冷たく平坦なその声に、明子は普通の声を作って「ええ」と、明るく答えた。
「夕飯はカキフライだそうです」
「へえ」
「あ、伝言が届いてました」
「伝言?」
「頼まれていたもの、実家に送ったって。そう、伝えてくれれば判るって」
「そっか。判った」
明子の言葉に疲れた声でそう言って、牧野は崩れ込むように座り込んだ。
突然、そんな声がして、明子は驚きに肩を大きく跳ね上げて、入り口を見た。
疲れた顔で戻ってきた牧野は、そこにあった明子の姿に驚いていたようだった。
まだ僅かに残っていた涙を気づかれないようにと、明子は慌てて正面に向き直り指先で拭った。
「お疲れ様です」
にこやかな笑みを作り、牧野にそう声をかける。
「急ぎの仕事でも入ったのか」
「いえ。そういうわけじゃ。明日のこととかいろいろ考えてたら、こんな時間で」
「明日のこと?」
なんだという顔の牧野に、原田さんに出す仕事のこととかですよと、明子は言葉を付け足して説明した。
その言葉に、牧野は興味なさげにふうんと鼻を鳴らすように返事をしながら、明子の手元にある携帯電話に目を向けた。
「島野さんからか?」
「え?」
「メール」
牧野の冷たく平坦なその声に、明子は普通の声を作って「ええ」と、明るく答えた。
「夕飯はカキフライだそうです」
「へえ」
「あ、伝言が届いてました」
「伝言?」
「頼まれていたもの、実家に送ったって。そう、伝えてくれれば判るって」
「そっか。判った」
明子の言葉に疲れた声でそう言って、牧野は崩れ込むように座り込んだ。