リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「バカバカバカバカ。バカ! 家に帰ってから見ろよっ バカ!!」
顔を真っ赤にして喚くだけ喚き散らした牧野は、まるで、地団太踏んで悔しがる子どものように、長いその足をドスドスバタバタと踏み鳴らして、それから、ぷいと明子に背を向けると、ドサリという音が聞こえてきそうな乱暴な座り方で椅子に腰かけた。
背中の向こうからの「バカ」と言う最後の悪あがきの呟きが、明子の耳をかすめる。
そのまま、呻くような声をあげて、牧野は髪をめちゃくちゃにかき乱していた。
後ろから見ていても判るくらい、その耳朶まで赤い。
明子の目から、ぽろりと大粒の涙が零れ落ちた。
慌ててそれを手の甲で拭い、明子は手の平の中のメモに、もう一度、目を落とす。
受けてみろ。
絶対、受かるから。
判らないことは、俺が教えてやる。
夜中でも休みの日でも
いつでも電話してこい。
昼休みでも教えてやる。
誰が見ても判る、やや癖のある角ばった文字で、メモにはそう書いてあった。
そして、あと二行分。
小林ですらそれは判別できないという、紙の上を這うミミズの文字があった。
頼むから、俺の側にいてくれ。
もう、どこにも行かないでくれ。
また、明子の目から、涙が一粒、ほろりと零れ落ちた。
顔を真っ赤にして喚くだけ喚き散らした牧野は、まるで、地団太踏んで悔しがる子どものように、長いその足をドスドスバタバタと踏み鳴らして、それから、ぷいと明子に背を向けると、ドサリという音が聞こえてきそうな乱暴な座り方で椅子に腰かけた。
背中の向こうからの「バカ」と言う最後の悪あがきの呟きが、明子の耳をかすめる。
そのまま、呻くような声をあげて、牧野は髪をめちゃくちゃにかき乱していた。
後ろから見ていても判るくらい、その耳朶まで赤い。
明子の目から、ぽろりと大粒の涙が零れ落ちた。
慌ててそれを手の甲で拭い、明子は手の平の中のメモに、もう一度、目を落とす。
受けてみろ。
絶対、受かるから。
判らないことは、俺が教えてやる。
夜中でも休みの日でも
いつでも電話してこい。
昼休みでも教えてやる。
誰が見ても判る、やや癖のある角ばった文字で、メモにはそう書いてあった。
そして、あと二行分。
小林ですらそれは判別できないという、紙の上を這うミミズの文字があった。
頼むから、俺の側にいてくれ。
もう、どこにも行かないでくれ。
また、明子の目から、涙が一粒、ほろりと零れ落ちた。