リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「牧野さん」
お待たせしましたと、入口から中を覗くようにして座っている牧野の背に呼びかけた明子は、呼びかけた声に返事もしなければ、身じろぎもしない牧野を、訝しげに眺めた。
牧野は背中を丸めるようにして、窓のほうを向いて座っていた。
「牧野さん?」
明子は牧野の名を呼びながら、牧野に近づいた。
頭を抱えるようにして耳を塞ぎ、きつく目を閉じている牧野は、息を殺すして体を強ばらせ、その唇をかすかに震わせていた。
どうしたんですか、カミナリさまが怖いんですかと、明子はそんな牧野を茶化して笑ってやろうとして、止めた。
『カミナリの夜は、牧野を一人にしないでやってくれ』
明子の心に、小林の言葉が浮かんできた。
あのときの怖いくらい真剣だって小林の横顔を思い出し、明子の不安が駆り立てられた。
判りましたと、あんなにはっきり答えたのに、すっかり忘れていた自分が情けなくなった。
「牧野さん、……牧野さん」
肩を静かに揺するようにして、明子は牧野の名を呼び続けた。
自分の殻に閉じこもる。
まさに、そんな様子の牧野を、その殻から引っ張り出そうとするように、明子は牧野の名を静かに根気強く呼び続けた。
どれほどそうしていたことか。
ゆるりと、牧野の目が開き、明子を捕らえた。
今、自分の目の前にいる者が誰なのか、それさえ判らないというような表情で、明子を見つめている牧野に、明子は「大丈夫ですか?」と、優しく笑いかけた。
お待たせしましたと、入口から中を覗くようにして座っている牧野の背に呼びかけた明子は、呼びかけた声に返事もしなければ、身じろぎもしない牧野を、訝しげに眺めた。
牧野は背中を丸めるようにして、窓のほうを向いて座っていた。
「牧野さん?」
明子は牧野の名を呼びながら、牧野に近づいた。
頭を抱えるようにして耳を塞ぎ、きつく目を閉じている牧野は、息を殺すして体を強ばらせ、その唇をかすかに震わせていた。
どうしたんですか、カミナリさまが怖いんですかと、明子はそんな牧野を茶化して笑ってやろうとして、止めた。
『カミナリの夜は、牧野を一人にしないでやってくれ』
明子の心に、小林の言葉が浮かんできた。
あのときの怖いくらい真剣だって小林の横顔を思い出し、明子の不安が駆り立てられた。
判りましたと、あんなにはっきり答えたのに、すっかり忘れていた自分が情けなくなった。
「牧野さん、……牧野さん」
肩を静かに揺するようにして、明子は牧野の名を呼び続けた。
自分の殻に閉じこもる。
まさに、そんな様子の牧野を、その殻から引っ張り出そうとするように、明子は牧野の名を静かに根気強く呼び続けた。
どれほどそうしていたことか。
ゆるりと、牧野の目が開き、明子を捕らえた。
今、自分の目の前にいる者が誰なのか、それさえ判らないというような表情で、明子を見つめている牧野に、明子は「大丈夫ですか?」と、優しく笑いかけた。