リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「そうしたら、彼女たちは怒られないのに、どうして、自分だけ怒られなきゃいけないんだって。そんなおかしい。そんなずるいって。また、ずるいずるいが始まっちゃって」
まいりました。
眉を八の字にしてしょげたように言う木村を見て、明子の脳裏にもその光景浮かび、ため息が出た。
「父親が取締役だったら、怒られることもないのにだとか。あの子たちみたいに、お金持ちの家の子だったら遊んでいられるのにとか。なんか、そんな訳の判らないことを言って。ずっと。おかしい、ずるい、不公平だ、ずるいって。そんなことばっかり、言ってて」
ホントに、どうしていいのか判らなくなりましたと、ほとほと困り果てたと言わんばかりの木村の口振りに、明子は「なるほどねえ」と低い声で言葉を返して、なにかに納得したような小さな頷きを繰り返した。
木村の話から、なんとなく、幸恵の根っこがそのものが見えて、だからこそ、明子はますます滅入ってしまった。
思っていた以上に、幸恵を変えることは難しいということに、改めて気づいた。
本当に、あの子は働きたくないとそう思っているのだと、今の話でそれがはっきりと明子にも判った。
仕事などしないで、毎日を楽しく過ごしていることが、彼女の望みなのだ。
ただ、幸恵の両親は、娘にそれを許してくれるような人たちではなかったのだろう。
学校を卒業したら働くことが当然だと言って、幸恵を社会に出したのだろう。
子どものころのように、働かなくても養ってくれる存在がなくなったから、幸恵は結婚することばかりを考えるようになったのかもしれない。
そんな中、同じ職場の同期の女の子が結婚した。
幸恵が望んでやまない生活を、あっさりと手に入れた同僚がいた。
そんな同僚が羨ましくて、自分があの幸せを手に入れられなかったのは、その同僚がいたせいだとさえ思うほど、その同僚を妬んだのかもしれない。
その歪んだ思いが、さらに結婚願望を強くしたのかもしれない。
結婚したい。
働きたくない。
結婚したい。
遊んでいたい。
そんな気持ちだけが、どんどんと募っていくなかで、美咲たちが幸恵の前に現れた。
まいりました。
眉を八の字にしてしょげたように言う木村を見て、明子の脳裏にもその光景浮かび、ため息が出た。
「父親が取締役だったら、怒られることもないのにだとか。あの子たちみたいに、お金持ちの家の子だったら遊んでいられるのにとか。なんか、そんな訳の判らないことを言って。ずっと。おかしい、ずるい、不公平だ、ずるいって。そんなことばっかり、言ってて」
ホントに、どうしていいのか判らなくなりましたと、ほとほと困り果てたと言わんばかりの木村の口振りに、明子は「なるほどねえ」と低い声で言葉を返して、なにかに納得したような小さな頷きを繰り返した。
木村の話から、なんとなく、幸恵の根っこがそのものが見えて、だからこそ、明子はますます滅入ってしまった。
思っていた以上に、幸恵を変えることは難しいということに、改めて気づいた。
本当に、あの子は働きたくないとそう思っているのだと、今の話でそれがはっきりと明子にも判った。
仕事などしないで、毎日を楽しく過ごしていることが、彼女の望みなのだ。
ただ、幸恵の両親は、娘にそれを許してくれるような人たちではなかったのだろう。
学校を卒業したら働くことが当然だと言って、幸恵を社会に出したのだろう。
子どものころのように、働かなくても養ってくれる存在がなくなったから、幸恵は結婚することばかりを考えるようになったのかもしれない。
そんな中、同じ職場の同期の女の子が結婚した。
幸恵が望んでやまない生活を、あっさりと手に入れた同僚がいた。
そんな同僚が羨ましくて、自分があの幸せを手に入れられなかったのは、その同僚がいたせいだとさえ思うほど、その同僚を妬んだのかもしれない。
その歪んだ思いが、さらに結婚願望を強くしたのかもしれない。
結婚したい。
働きたくない。
結婚したい。
遊んでいたい。
そんな気持ちだけが、どんどんと募っていくなかで、美咲たちが幸恵の前に現れた。