リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「それは……、どうかなあと思います。沼田さんと一緒の仕事だったから、ちゃんと時間通りに戻って、客先に行っていただけじゃないかなあ」
「なるほどねえ。そういう見方もあるか」
木村の推理に一理あるかもと頷く明子を横目で見ながら、木村は周囲の者から聞いている話を、あれこれと明子に聞かせ始めた。
「野木主任が言うには、沼田さんが土建屋さんの仕事に入って仕事が別になってから、一気に様子がおかしくなったみたいですから。朝もなかなか席に着かないし、見た目もどんどん派手になって。沼田さんがいると、仕事なんかそっちのけで沼田さんべったりで、あれこれ世話ばかりやきたがるようになったって。それでも、客先に行く時間になったら、仕方なく行っていたんでしょうけど。そこに、いきなり主任が出てきてから、焦り出しちゃったんでじゃないんですか。ヒメたちが主任と沼田さんをくっつけようなんて目論んで、へんに煽ろうとしているから、ホントにそんことになったらどうしようって」
あるていどの事実に基づいての木村のその推論に聞き入っていた明子が、なるほどねえと感心したように頷くのを見て、木村は話しの軌道を戻した。
「だから、あいつらの仲がいいのかって聞かれると、なんか微妙な気がしますね。原田が沼田さんに気があることを知っていて、それでも主任とくっつけようとしたり。あいつら見ていると、なんか、友だちっていう雰囲気じゃないなあって感じるときもあるし。なんか、野々村とか江藤なんかは、原田のこと、ときどき、バカにして笑っているんですよね。服だの、持ち物だのを見て、安そうな服だのなんだのって。なんで、そんなことで笑われなきゃいけないのか。僕には正直、よく判らないです」
今のあんな格好より、前の方がちゃんとしてたと僕は思うんですけどね。
やや不機嫌そうにそう言う木村に「ブランド至上主義ってやつね」と、明子はまた小さく頷いた。
「それが悪いとは言わないけど。人の持ち物まで、とやかく言って難癖つけるなんて。何様のつもりなんだか、あの子たち」
容易に想像がつくその光景に、明子はヤダヤダと首を振った。
明子のことなど、あの子たちは今までなんと言って笑っていたのか、それを考えるだけで気が滅入った。
隣の木村も「いやですねえ」と渋面で同意しながら、さらに明子が驚くようなことを口にした。
「まあ、ヒメとだってホントに仲がいいのかは、疑問ですけどね。あいつらの場合」
「へ? そうなの? なんかあったわけ?」
思いがけない木村の言葉に、明子はきょとんとした顔で木村を見た。
「なるほどねえ。そういう見方もあるか」
木村の推理に一理あるかもと頷く明子を横目で見ながら、木村は周囲の者から聞いている話を、あれこれと明子に聞かせ始めた。
「野木主任が言うには、沼田さんが土建屋さんの仕事に入って仕事が別になってから、一気に様子がおかしくなったみたいですから。朝もなかなか席に着かないし、見た目もどんどん派手になって。沼田さんがいると、仕事なんかそっちのけで沼田さんべったりで、あれこれ世話ばかりやきたがるようになったって。それでも、客先に行く時間になったら、仕方なく行っていたんでしょうけど。そこに、いきなり主任が出てきてから、焦り出しちゃったんでじゃないんですか。ヒメたちが主任と沼田さんをくっつけようなんて目論んで、へんに煽ろうとしているから、ホントにそんことになったらどうしようって」
あるていどの事実に基づいての木村のその推論に聞き入っていた明子が、なるほどねえと感心したように頷くのを見て、木村は話しの軌道を戻した。
「だから、あいつらの仲がいいのかって聞かれると、なんか微妙な気がしますね。原田が沼田さんに気があることを知っていて、それでも主任とくっつけようとしたり。あいつら見ていると、なんか、友だちっていう雰囲気じゃないなあって感じるときもあるし。なんか、野々村とか江藤なんかは、原田のこと、ときどき、バカにして笑っているんですよね。服だの、持ち物だのを見て、安そうな服だのなんだのって。なんで、そんなことで笑われなきゃいけないのか。僕には正直、よく判らないです」
今のあんな格好より、前の方がちゃんとしてたと僕は思うんですけどね。
やや不機嫌そうにそう言う木村に「ブランド至上主義ってやつね」と、明子はまた小さく頷いた。
「それが悪いとは言わないけど。人の持ち物まで、とやかく言って難癖つけるなんて。何様のつもりなんだか、あの子たち」
容易に想像がつくその光景に、明子はヤダヤダと首を振った。
明子のことなど、あの子たちは今までなんと言って笑っていたのか、それを考えるだけで気が滅入った。
隣の木村も「いやですねえ」と渋面で同意しながら、さらに明子が驚くようなことを口にした。
「まあ、ヒメとだってホントに仲がいいのかは、疑問ですけどね。あいつらの場合」
「へ? そうなの? なんかあったわけ?」
思いがけない木村の言葉に、明子はきょとんとした顔で木村を見た。