リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
朝は捨ててしまおうと思っていた花柄のカーテンを、とりあえず、明子はまた掛けた。
スーパーマーケットの中にある日用品のコーナーを覗いてみたが、カーテンはなかった。
仕方がないので、いつも衣料品などを注文しているネットショップで探して注文しようと決めて、それまではこれを掛けておくしかないと諦めた。

一日中、からりとした晴天が続き、カーテンもタオルケットもシーツも、大物の洗濯物はすべて、気持ちよいほどに乾いた。
陽をいっぱい浴びた、ふかふかのタオルケットにくるまって、このままソファーに横たわり、いつものようにダラダラとしていたくなるほど、気持ちよく乾いた。

家事が一段落すると、大きなマグカップ一杯分のホットミルクを、明子は作った。
おやつ代わりの飲み物だ。
黒糖とジンジャーパウダー、黄粉をたっぷり入れたので、それはミルクティーのような色合いになった。
それをリビングのテーブルに置いて、明子はソファーに深々と腰掛けた。
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