リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
リビングの作業台を兼ねたテーブルに、貰ってきたおからと買ってきたものを、明子は並べ置いた。
薄力粉とヨーグルト。
製菓用のレーズンなどのドライフルーツを数種類。
大量の豚ひき肉と、大きめの豚ブロック肉。
しょうが焼き用の肉と、豚の小間切れ。
チキンカレー用のむ鶏肉。
卵を二パックと、冷凍うどん。
その他、生姜やらパセリやらなにやらの野菜を少々。
並べたそれらをマジマジと見て、よく肩が抜けたなかったものだと、明子は感心した。
まあ、実際、抜けるはずはないのだけど、それくらい今日の荷物は重かった。
家に向かい始めて、今日はヨーグルトがいつもより二十円ほど安くなっていたことを思い出した明子は、家には寄らず、そのまままっすぐスーパーマーケットに足を向けた。
他にもなにかお買い得品はあるかなあと、店内を歩き始めたら、精肉も特売品で安売りされていた。
付いている値札の半額になるというポップが張られ、カレー用の肉を手にしたついでに、豚のブロック肉を手にとって眺めていたら、牧野から煮豚を食べたいと強請られてことを思い出してしまった。
日曜に来ることだし、牧野が食べたいとあんなふうに強請ったということは、ホントに食べたいということなのだろうと思ったら、ついつい、明子の中に仏心が湧いてしまった。
気が付いたらそれをカゴに入れて、その勢いで他の肉まであれこれと手を出してしまっていた。
煮豚を作るなら卵もいるし、ネギと生姜も足りないし、そんなことを考えていたら、ふいにバックの中のおからの存在を思い出した。
おからでも、なにか作ろう。
卯の花はまだ冷凍してあるものがあるから、お菓子系にしようかなと思いつき、粉やらなにやらを買い込んだら、いつの間にか、ちょいとした大荷物になっていた。
しかも、今日でなくてもいいのに、なぜか炭酸水までカゴに入れていた。
明子は予定外の買い物の山に頭を抱えた。
(ストレスが、食欲じゃなく物欲になったかな?)
(いやいや、買ってきた物は食料品だから、これは立派な食欲よ)
(うん)
(ストレス性食欲だけでなく、ストレス性物欲まで発症するようになっちゃったら、大変だって)
とりあえず、肉は冷凍しておこうと冷凍庫に入れながら、夕飯はどうしようかなあと、明子は考えた。
(ナポリタン、かあ)
(ピーマンあるし、玉ねぎあるわね)
(まいたけも、入れようかな)
(確か、ソーセージもあったはず)
(ケチャップも、もつろんあるぞと)
(あ。ナポリタンじゃなくて、オムライスにしようかなあ)
(ささみ、使っちゃわなきゃダメだったんだわ)
(トロトロ卵をのせたオムライス)
(チキンライスでオムライス)
(よし、そうしようーっと)
先ほど、メールをみたときほどの食欲はなくなっていたのだけれど、それは無視して、おいしいご飯を作るのだとと、明子は自分に言い聞かせた。
(でも、その前に……)
(おからでスコーンと、パウンドケーキを作ってしまおう)
テーブルの上のものを見て、明子は大きく頷いた。
薄力粉とヨーグルト。
製菓用のレーズンなどのドライフルーツを数種類。
大量の豚ひき肉と、大きめの豚ブロック肉。
しょうが焼き用の肉と、豚の小間切れ。
チキンカレー用のむ鶏肉。
卵を二パックと、冷凍うどん。
その他、生姜やらパセリやらなにやらの野菜を少々。
並べたそれらをマジマジと見て、よく肩が抜けたなかったものだと、明子は感心した。
まあ、実際、抜けるはずはないのだけど、それくらい今日の荷物は重かった。
家に向かい始めて、今日はヨーグルトがいつもより二十円ほど安くなっていたことを思い出した明子は、家には寄らず、そのまままっすぐスーパーマーケットに足を向けた。
他にもなにかお買い得品はあるかなあと、店内を歩き始めたら、精肉も特売品で安売りされていた。
付いている値札の半額になるというポップが張られ、カレー用の肉を手にしたついでに、豚のブロック肉を手にとって眺めていたら、牧野から煮豚を食べたいと強請られてことを思い出してしまった。
日曜に来ることだし、牧野が食べたいとあんなふうに強請ったということは、ホントに食べたいということなのだろうと思ったら、ついつい、明子の中に仏心が湧いてしまった。
気が付いたらそれをカゴに入れて、その勢いで他の肉まであれこれと手を出してしまっていた。
煮豚を作るなら卵もいるし、ネギと生姜も足りないし、そんなことを考えていたら、ふいにバックの中のおからの存在を思い出した。
おからでも、なにか作ろう。
卯の花はまだ冷凍してあるものがあるから、お菓子系にしようかなと思いつき、粉やらなにやらを買い込んだら、いつの間にか、ちょいとした大荷物になっていた。
しかも、今日でなくてもいいのに、なぜか炭酸水までカゴに入れていた。
明子は予定外の買い物の山に頭を抱えた。
(ストレスが、食欲じゃなく物欲になったかな?)
(いやいや、買ってきた物は食料品だから、これは立派な食欲よ)
(うん)
(ストレス性食欲だけでなく、ストレス性物欲まで発症するようになっちゃったら、大変だって)
とりあえず、肉は冷凍しておこうと冷凍庫に入れながら、夕飯はどうしようかなあと、明子は考えた。
(ナポリタン、かあ)
(ピーマンあるし、玉ねぎあるわね)
(まいたけも、入れようかな)
(確か、ソーセージもあったはず)
(ケチャップも、もつろんあるぞと)
(あ。ナポリタンじゃなくて、オムライスにしようかなあ)
(ささみ、使っちゃわなきゃダメだったんだわ)
(トロトロ卵をのせたオムライス)
(チキンライスでオムライス)
(よし、そうしようーっと)
先ほど、メールをみたときほどの食欲はなくなっていたのだけれど、それは無視して、おいしいご飯を作るのだとと、明子は自分に言い聞かせた。
(でも、その前に……)
(おからでスコーンと、パウンドケーキを作ってしまおう)
テーブルの上のものを見て、明子は大きく頷いた。