リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
スコーンを焼いている間に、長方形のパウンド型の内側にオイルを薄く塗って、型に合わせてクッキングシートを張り付ける。

ボウルに、薄力粉とおからを同量を入れて、ヨーグルトは薄力粉のほぼ倍量。
ベーキングパウダーと、砂糖、ドライフルーツを加え、スコーンよりはかなりしっかりと混ぜる。
出来上がった生地を、型に流し入れて、空気を抜くために、型を持ち上げてトントンと軽く落とす。
スコーンが焼きあがったら、これを電子レンジに入れて焼きあげる。


(よし。できた)
(次はー、オムライス)
(この時間だから、バターは使わないで、あのグレープのオイルにしよ)


明子は冷蔵庫の前に立ち、ヒゲの関ちゃんの顔を一撫でして、材料を取り出した。


玉ねぎ、舞茸、ささみを少し大きめのざく切りにする。
卵をボールに割り入れて、軽く塩、胡椒を振ってほぐす。

熱したフライパンにグレープシードオイルを垂らし、玉ねぎを入れる。
透き通るまで炒めたら、舞茸、ささみも入れて、火が通るまで炒める。
火が通ったら、ケチャップとトマトピューレを加えて、強火で一気に加熱。
沸々してきたところに、ご飯を入れて、よく混ぜながら、ご飯がぱらりとするまで炒めて、塩、胡椒で味を調えたら皿に山にして盛る。
フライパンを洗って、熱したらオイルを入れて、卵を流し入れる。
フライパンを五徳の上で回して、卵を全体に広げて、底が固まってきたら火を止める。
オムレツにしてのせようかと考えたけれど、そこまで手の込んだものでなくていいやと、そのまま皿に盛ったチキンライスの上にのせた。
表面はまだ半熟状態なので、ぱっと見、トロトロ卵のオムライス風になった。


(んー。いい匂い)
(彩りに、パセリも刻んでのせようか)


なかなかよくできたじゃないと、オムライスを盛り付けた皿を掲げ持って、自画自賛で褒め上げて、明子はえへへと笑った。
使ったご飯の量は一膳分もないはずなのに、玉ねぎをたっぷり入れたせいか、ボリューム感があった。
だから、夜はなるべく食べないと決めただけに、この時間にこれは多すぎたかもしれないと、すぐに軽い罪悪感を明子は覚えてしまった。


(半分残して、残りは明日の朝ご飯にしよう)


そう決めて、まだ湯気の立ち上る皿を、明子はテーブルに運んだ。
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